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令和4年グループ検討課題(あっせん答弁書起案) [特定社労士]

特別研修も、そろそろグループ研修に突入かな?
例年、必要な資料のリンク先などをプレゼントしていますが[exclamation]
今年のグループ研修のテキストを見せてもらったら、去年とほぼ同じ
なので、去年のをベースにリンク先などを更新して提供しておきますので

使う人は、自己責任でどう~~ぞ[モバQ]



■□ 設例第2 あっせん答弁書起案

小問(1) 労基法上の労働時間概念について確認し、本問における朝礼時間が労働時間に該当するか否かについて検討しなさい。

① 労働時間の定義について
※ 労働時間の定義については、労働政策研究・研修機構のページを読んでください。
【労働時間】労働時間の定義(労働政策・研修研究機構)
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/05/37.html

② 本問における朝礼時間が労働時間に該当するか否かについて
 当該朝礼が、使用者の業務命令によるものか…甲野さんは「工場長主催で実施する朝礼の準備などで、毎朝6時50分ころに出社せざるを得なかったからです」と言っています(P.37)。しかし、小山さんの陳述(P.43)では「工場長として毎朝7時54分ごろから15分程度朝礼を行い…(中略)…私は毎朝7時30分ごろには出社しています(であれば、甲野さんも7時30分ごろの出社でも間に合う?)。家が遠くて6時50分ころに出社していた丙川さんを除くと、他の従業員は7時40分から45分の間に出社していました。…(中略)…丙川さんは自分が出社すると、自分のタイムカードだけでなく、甲野さんのタイムカードを押していた」とあります。これをどう評価すればよいのでしょうか? また、他にはないでしょうか?


小問(2) 労基法上の管理監督者(法41条2号)の概念を確認した上で、被申請人の工場長であった甲野太郎氏が労基法上の管理監督者に該当するかについて検討しなさい。

① 労基法上の管理監督者(法41条2号)の概念について
■□ 管理監督者については、古い資料ですが次の資料を読んでみてください。
しっかりマスター労働基準法(東京労働局H30)
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000501863.pdf
労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために(厚労省H20)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/kanri.pdf
多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について(厚労省H20)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0909-2a.pdf
受験ノートP.76「争点 管理監督者(労働基準法41条2号該当者)」にあります[モバQ]

② 本問における朝礼時間が労働時間に該当するか否かについて
 取締役会などに出席していたか、従業員の採用にかかる人事権を有していたか、労働時間ににかかる制約を受けていたか、役員(管理監督者として)にふさわしい手当を支給されていたかといった、内容を検討してみてください。そのうえで、甲野さんが管理監督者であるか否か判断する必要があります。

小問(3) 本件において、甲野氏の管理監督者該当性が否定された場合、被申請人は月給の中に時間外割増手当が組み込まれている旨の主張を行うことが考えられるか。
 あらかじめ基本給や諸手当に時間外手当を組み込んで支払う方法が労働基準法37条に違反しないと言えるにはどのような要件が必要かを検討した上で、本件において被申請人が固定時間外手当合意の有効性を主張できるか、できるとした場合に具体的にはいくらの時間外手当をあらかじめ支払済であると主張することになるのかについて検討しなさい(受験ノートP.72)。

① あらかじめ基本給や諸手当に時間外手当を組み込んで支払う方法が労働基準法37条に違反しないと言えるにはどのような要件が必要かについて。
※ 定額制残業代について、労働政策研究・研修機構のページを読んでください。
【労働時間】割増賃金(労働政策・研修研究機構)
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/05/40.html

関西ソニー販売事件 大阪地裁S.63.10.26
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/04035.html
国際情報産業事件 東京地裁H3.8.27
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/05784.html
アクティリンク事件 東京地裁H24.6.29
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/90005.html

② 被申請人(Y社)は月給の中に時間外割増手当が組み込まれている旨の主張を行うことができるかについて
③ 本件において被申請人が固定時間外手当合意の有効性を主張できるかについて
 ①を踏まえて…本件の定額制残業代が認められるか否か判断は、上記のような裁判例で示されていますが、「定額残業代によってまかなわれる残業時間数を超えて残業が行われた場合には別途清算する旨の合意が存在するかそうした取扱いが確立していることが不可欠」である以上、このこと(割増賃金の定額払い)が周知されているかという点を考慮する必要があります。
 ここでいう周知とは、労働基準法106条、同法施行規則52条の2に定める周知方法(①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、②書面を労働者に交付すること、③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること)に限定されるものではなく、実質的に判断されるものです。
[ひらめき]周知に関しての記述ですが、基発0810第2号 平成24年8月10日(厚生労働省)のP.13~14にかけて説明があります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000773763.pdf

④ 本件において被申請人が固定時間外手当合意の有効性を主張ができるとした場合に具体的にはいくらの時間外手当をあらかじめ支払済であると主張することになるのかについて検討しなさい。
 いくらの時間外手当をあらかじめ支払済であると主張することができるか、グループ内で検討してください。


小問(4) 一般的に時間外手当請求がなされる場合、労働時間の算定のための資料としてどのような資料が用いられるか。
 また、本件において、申立人がタイムカードをもとに労働時間の主張を行っているが、本件におけるタイムカードの打刻時刻の労働時間算定資料としての信用性を踏まえ、毎朝7時から早出残業を行っていたという申請人の主張の当否について検討しなさい。

① 労働時間の算定のための資料としてどのような資料が用いられるかについて
 一般的にはタイムカードですが、これ以外に、労働時間(労働時間でないこと)を証明できるものはないか、グループ内で検討してください(この資料内、この資料外でも一般的に労働時間を証明できるものを探してください)。

② 本件におけるタイムカードの打刻時刻の労働時間算定資料としての信用性を踏まえ、毎朝7時から早出残業を行っていたという申請人の主張の当否について検討しなさい。
 具体的には、小問(1)の②で書いたような内容を探してみましょうということです。

小問(5)…今年追加されました…賃金債権の消滅時効について確認し、本件において、甲野氏の請求に対して、被申請人が消滅時効の抗弁を主張することが可能か、時効の完成猶予【時効の中断】が認められるか、について検討しなさい。

■□ 賃金債権の消滅時効の規定
民法第166条1項(債権等の消滅時効)
労働基準法第115条(時効)・第143条

① 消滅時効について
 賃金債権の消滅時効は、一般法の民法で5年と定められていますが、特別法の労働基準法は3年(法115条では5年ですが、附則143条で読み替え規定があるため)と定められており、一般法と特別法が異なる定めをしているときは、特別法が優先されることになるため、賃金債権の消滅時効は3年となります。
 具体例を挙げると 毎月20日〆、25日払いの会社で、令和4年9月25日に支払われる賃金の消滅時効は…令和4年8月21日から9月20日までの労働に対する賃金債権は、9月25日(履行期)中に賃金が支払われなければ、翌日9月26日が起算日となって、賃金債権の消滅時効は3年後の令和7年9月25日の24時に時効は完成し消滅してしまいます。
 ここで、債務者(本件ではY社)が、時効援用(「時効により消滅していますから、払いません」と裁判所に宣言すること)を行わなければ、消滅時効の利益を得ることはできません。

■□ 民法第145条(時効の援用)
[ひらめき]裁判することができない=時効の利益が得られない

そして、その間にあっせん申請が行われると、その時点で時効の完成猶予(時効の進行がそこで止まる)されます。そのときに、あっせん・調停の申請がなされたときに、裁判上の訴えがあったものとみなされます(受験ノートP.17)。

■□ 時効の完成猶予
個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第16条(時効の完成猶予)=労働局のあっせん・調停/地労委のあっせん
裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第25条1項(時効の完成猶予)
民法第147条(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)

② 消滅時効時効の完成猶予【時効の中断】が認められるか、について検討しなさい。
 請求期間と時効の関係を問われていますから、時効援用の必要があれば、それを答弁書に反映させてください。


小問(6) 以上を前提に答弁書を起案せよ。
小問(7) 和解案を検討しなさい。

 グループ内で検討してください。
 この、小問(7)も、試験の第1問小問(5)の対策です。X(甲野氏)の代理人、もしくはY社(株式会社ビリーブ)の代人の立場で、相手側の事情を斟酌した和解案を考えてみましょう。前問のあっせん申請書も同様に考えてください。






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