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第19回紛争解決手続代理業務試験を解いてみた(あっせん事件編=解答例) [特定社労士]

先程、第19回紛争解決手続代理業務試験の問題のコピーを入手して
帰り道、読み込んでおりました。
第1問…過去ものんの焼き直しとはいえ、意地悪いな。。。ρ(▼、▼*)チェッ

この解答例は、受験された皆さんと同じ2時間で作っています。
この内容は、これぐらい書けていれば、
合格できるあろうという視点から作成しています。
あくまでも、試験当日の見解であり、合格発表時の出題の趣旨を鑑みて、
今後の、受験ノートや解答例に掲載する内容と異なる場合があります。
その点をご承知おきください。

仕切り直して、第1問あっせん事件です。
どんな事件かと言えば、
地方銀行Y社のK支店で融資課長Xが。中途採用された26歳若手のAに対して、パワハラをして、それが認定され、懲戒処分相当とされました。
そんな中、K支店長から、処分案として懲戒解雇という意見も出ており、懲戒解雇となる可能性が高く、そうなると君の経歴に傷がつき、再就職のあっせんもできなくなると言われ、懲戒解雇になるぐらいなら支店長のいうとおり自己都合対処した方がいいと考え、退職届を支店長に提出しました。
同僚から、専門家に相談したらとアドバイスを受け、社会保険労務士に相談したら、Xのケースでは懲戒解雇にはならないと言われ、翌日9月22日に、支店長に退職届は真意ではないので取り消す旨、口頭で伝え、本店人事部にも内容証明で退職願の取り消しを内容証明で送ったものの(同25日到達)、同22日は、退職承認の事例がXに届いていた事件です。

問題文には、民法95条の錯誤が掲載されているので、
X側は錯誤で戦えという暗示が(黙示のヒントが)紛れ込んでいました。


さて・・・
小問(1) 求めるあっせんの内容
遅延損害金は書くなという指示ですから、
地位確認と退職後の復職が認められるまでの賃金請求の2つになります。

【解答例】
XはY社に対し
① 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
② 令和5年10月1日以後本件解決の日まで、毎月20日限り、
  支払済みを除き金655,000円の支払い
を求める。


小問(2)(3)について、パワハラ認定事実には異議はないという点から
この点について、記述は最小限にしないと[モバQ]
となると、民法95条(錯誤)と同97条(意思表示の効力発生時期等)、
同540条2項(解除権の行使)に絞って、言い分から拾い上げることに

【解答例】 小問(3) 今回もY社側から考えてみると
① 第1回目の懲戒委員会で、懲戒処分の内容については次回協議することになり
 その席にはK支店長も加わっていたこと
② 第2回目の懲戒委員会が開催される前の9月20日に、本人から9月30日をもって
 自己都合退職する旨の退職願が提出され、退職の意思表示受領権者と協議し
 Xの自己都合退職としたこと
③ 9月末退職辞令は内容証明郵便で、9月22日にXに到達したこと
④ Xの退職願を撤回する旨の意思表示は9月25日に到達したこと
④ 退職の意思表示は撤回できないこと(民法540条2項)

【解答例】 小問(2) 次にX側の錯誤について
① パワハラを行った場合の懲戒規定には、懲戒解雇が含まれること
② K支店長から、懲戒解雇という意見も出ており、懲戒解雇となる可能性が高い
 と言われ、懲戒解雇になるぐらいなら支店長のいうとおり自己都合対処した方が
 よいと考え、退職届を支店長に提出したこと
③ ②の懲戒処分になりそうだという発言は根拠のない誤りであることがわかり
 錯誤(誤った事実を信じて)して、退職願を提出したことを、9月22日の
 出勤直後、K支店長には口頭で、本店人事部には退職願の取り消す旨の
 内容証明を送り同25日には到達したこと
④ 退職願を9月22日に取り消したため、退職辞令は無効であること

ちょっと、②③が長いな[ふらふら]

こちら(X側)は5項目目が見つからなかった。見落としたのかも…Ω\ζ°)チーン


さて、これを受けて、この事件の行方を占うことになります。
退職の意思表示は、同意思表示の受領権者に到達したら、
撤回はできないルールです(民法97条)。
Xがした撤回の意思表示は、22日に支店長に口頭で伝えたものの
受領権者に到達してないわけで(それが到達したのは25日)。
そして、一度した退職の意思表示は撤回できない(民法540条2項)。
だから、退職願いは有効で9月末には有効になります。

しかし、錯誤の原因を作ったK支店長は懲戒委員会の構成メンバーで
Kが「懲戒解雇も…」と言えば、信じてしまいますよね
だったら、錯誤による瑕疵ある意思表示だった
しかも、退職という重大なものであったら、取消も可能である
こういう展開で書いてあれば、だいたいOKかな[たらーっ(汗)]


【解答例】 小問(4) 法的見通し
9月20日にXの退職願が受領権者に届き、Y社は自己都合退職としたことに対し、退職願の撤回の意思表示は同25日届いていることと、民法540条では「意思表示は、撤回することができない」と定められており、当該撤回の意思表示は有効にならない。しかし、K支店長は懲戒委員会の構成メンバーであり、「懲戒解雇も」と聞かされれば、Xは錯誤に陥ることは十分に考えれ、当該退職願は瑕疵ある意思表示だったと考えらる。また、退職という重要なものであるので、当該Xの退職の意思表示は取消しも可能である。(238字)


これを前提に、和解案を提示していくのが小問(5)でありますゆえ
でも、問題文の「Y社の主張事実も考慮し」という部分が
Y社の言い分13.にある「しかし、Xの~」がに該当します。
つまり、退職願が無効だとしても、Y社は復職を認めない姿勢が、
見えているので、ある意味、これが和解案のヒントになるのではないかな

一応は降格などの人事で、復職の打診をしてみるが
応じなければ、金銭解決になるでしょうね[ちっ(怒った顔)]

【解答例】 小問(5) Y社の主張事実も考慮した和解案
退職願の意思表示が取り消されたら、Xは復職できることになる。しかし、懲戒事由に該当するため何らかの懲戒処分を受けることで、復職できるように交渉するが、Y社は、自己都合退職がY社とX本人の双方の立場から見て円満な解決であると考えていると言っている以上、復職を渋るものと考えられる。そうなると、金銭解決になるので、Xに対して状況を説明し、説得することになる。(177字)


この事件では、降格人事+配転ありきで考えていたところ
退職願いが出てきて、渡りに船に乗っかった感じなんでしょうね。
それを今更撤回と言われてもε-(;-ω-`A) フゥ…←Y社

ここで、自己都合で円満退職してくれたら、
次の職場のあっせんも可能になるという
作問者の意図が見え見えなんですけどね[ふらふら]


取り敢えず、終わりました。受験された皆さんお疲れ様でした。
今頃、酒盛りの真っ最中かもしれませんね。

   でも、復元解答作るだけの元気は残しておきましょうね[わーい(嬉しい顔)]



  /l、
  ("゚. 。 フ
  /つ旦~   
 ()  (~)~ ここまでお読みいただきましてありがとうございました。
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