グループ検討 ■□ 設例１ あっせん申請書起案のヒント

グループ検討の設例について、解答を書いたら、叱られるので、
あくまでもヒントです。ヒ・ン・ト！ ですよ～♪

　　　業務集中…中なので、一気に掲載できないので、
　　　この後、グループ検討課題第5に倫理まで
　　　時間のある時に、順次UPしていますね

■ 設例１　申請書起案用（雇止め）
　本ケースにおいてＹ法人は甲野花子氏（以下「甲野氏」という。）に対し、令和５年２月９日付け「雇用契約の終了予告通知書」を以て、同年３月末で雇止めとしている（以下「本件雇止め」という。)。
　申請書を起案［小問(6)参照］するにあたって、本件雇止めの有効性を以下の小問(1)から(5)を踏まえて検討しなさい。また小問(7)の指示に従い、和解案も検討すること。

小問（１）-1
　有期労働契約の雇止めに関して、２つの最高裁判例（東芝柳町工場事件最高裁判決、日立メディコ事件最高裁判決）の判旨を確認した上で、労働契約法19条が立法化されるにあたって、これらの判例がどのように条文の中に取り込まれたのかを確認しなさい。（受験ノートP.41・P.43）

Ａ：　労働契約法19条が立法化されるにあたって基礎となった判例法理は次のものです。
　両事件とも、反復更新しているので解雇権濫用法理を類推できるのですが、一方は「仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく」とあり、実質期間の定めのない労働契約とみなされるもので、他方は「終身雇用の期待の下に期間の定めのない労働契約を締結している者とはおのずから合理的な差異がある」という裁判所の判断になります。

東芝柳町工場事件
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/00377.html
日立メディコ事件
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/03801.html
※　他にも、「期待保護（雇用継続タイプ）」として福岡大和倉庫事件、
　「純粋有期契約タイプ」として亜細亜大学事件がありますので、
　一読しておくといいでしょう。

小問（１）-2
　また労働条件の明示義務(労基法15条1項、労基則5条1項1号の2) 並びに労働基準法14条2項及び ｢有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15・10・22厚労告第357号、 最終改正平成24・10・26厚労告第551号)についても内容を確認すること。

Ａ：　e-Gov法令集で確認しましょう。そして、労基法で委任している項目に注目してください。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15・10・22厚労告第357号、 最終改正平成24・10・26厚労告第551号)…受験ノートP.45
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h24-kokuji-0551-shinkyuu.pdf


小問（２）
　解雇に関する法規制（労働契約法16条）と比較して、労働契約法19条における雇止めの客観的合理的理由及び社会通念上の相当性の有無あるいはその程度について違いがあるかについて検討しなさい。

考え方
① 労働契約法19条1号を基準として考えたとき…労働契約の解除事由はあるのか？
② 労働契約法19条２号を基準として考えたとき…雇用継続に向けて合理的期待があるのか？
③ 労働契約法16条を基準に考えたとき…解雇権濫用法理
　普通解雇（受験ノートP.31「争点普通解雇の有効性」）の①～④を検討します。今回の雇止めをするに際して、その雇止め事由又は解雇事由（解除事由）が就業規則又は労働契約に記載されているのか。（「小問(２)」で確認しなさいと言っている点です）
　そして、解除事由に該当したのかといった内容を確認し、最後に相当性を判断する際に、設問の「相当性の有無あるいはその程度」を検討することになります。

Ａ：　労働契約法19条1号では「解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる」という条件ですから、解雇のするのと同じつまり、解雇（雇止めする）事由について規定の明確性・該当性を満たしたうえで、「その者を、引き続き企業に雇用することが適当でないと判断することに合理的な理由なのか」ということを、考えることになります。

　何が、甲野花子を引き続き保育園に雇用し得おくことが適当でないのか、そして、そう判断するに合理的な理由はなにか？…これを考えましょうということです。定年後の再雇用規程、就業規則にこの事案に該当する解除規定はあったのでしょうか？　そして、それに該当したのか確認してみましょう。


小問（３）-1
　高年齢者雇用安定法は、定年についてどのような法規制を設けているか。
　また、定年後の再雇用についてはどのような法規制を設けているかを確認しなさい。

Ａ：　高年齢者雇用安定法について、このリーフレットを読むと良いでしょう。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000694689.pdf
　65歳までの雇用確保（義務！）に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置を講ずる努力義務を新設。（令和３年４月１日施行）

小問（３）-2
　さらに、高年齢者雇用安定法9条の違反の私法上の効力（雇用契約上の効力）についても検討しなさい。

Ａ：　一般的には、
法律＞労働協約＞就業規則＞個別労働契約
法律違反の就業規則（労働契約）は公序良俗に反するので、無効！（民法90条）となるので、65歳までの雇用継続に期待が法律で保障されたことになります。

再雇用規定では「解雇事由（就業規則31条）又は退職事由に該当しない者」とあり、就業規則31条4号「協調性がなく、注意・指導しても改善の見込みがないと認められるとき」の該当性です。これに該当していれば、更新を妨げる事情になるのですが…さて、本件に当てはめれば、どうなるでしょうか？


小問（４）
　定年後再雇用された後に労働者が雇止めされたケースに関し、津田電気計器事件［最一小判平成24・11・29労判1064号13頁］を参照し、当該事件の具体的な事実関係を確認した上で、最高裁がどのような判断を示したかについて検討しなさい。

Ａ：　津田電気計器事件は、ここを見ればいいかな？
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/10/85.html
最高裁のページはこちら
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82762

　判例の要旨（できれば、判決文の全文を読んで欲しい）を読めは、だいたいのイメージをつかめると思うのですが！　最高裁判例では、契約更新の条件の該当性は「総点数が０点以上の高年齢者を再雇用する」ということ、そして、当該原告は「総点数が１点となり、当該基準を満たす者であった」と判断され、再雇用されるべき者であったと判事した（40時間のフルタイムとしては得点が足りなかったが、週所定労働時間が30時間で雇用契約上の地位が認められた）。
　これを踏まえて、本件を考えると……。契約更新の条件の該当性（定年後の再雇用規程５条・６条）。そして、当該条項には拒絶事由があるのでそれに該当したか否か（就業規則31条に該当したか）を判断することになります。


小問（５）
　本事案において、甲野氏はＹ法人に対して不法行為に基づく損害賠償請求をなしうるか。不法行為の要件効果を確認し、仮に本事案における再雇用拒否が不法行為に該当する場合、甲野氏がＹ法人に対して賠償を請求できる損害には何が考えられるかを検討しなさい。

Ａ：　再雇用拒否が不法行為に該当する場合、甲野氏がＹ法人に対して賠償を請求できる損害には何が考えられるかについて
　不法行為による損害賠償請求である以上、民法709条になるわけで（読めばだいたいわかる民法P.174）、加害者（学園）に「故意又は過失」があり、それによって損害が生じていることが要件とされます。
　本件では、法律に基づき雇用契約が更新されるべきであるのに、保育園側の過失により更新されなかったので、65歳まで働ける権利を侵害されたことによる遺失利益を請求することになる…はず（このあたり、めっちゃ苦手なんでf^^； あまり当てにしないでwww）
　実際に認められるかというと、原状回復されたら遺失利益分は得られるから、実際には賠償を認められるかというと難しいと思います。精神的苦痛についても、原状回復で補えると思われるので同様に考えられるのではないでしょうか？


小問（６）
　以上を前提に、本事案で甲野氏の代理人の立場に立って申請書を起案しなさい。

ヒント：　グループ検討課題P.33～のあっせん申請書を見ながら、本書５ページの、「本件雇止めを無効する主張について」に沿って書けば起案できるのではないかと…


小問（７）
　仮に、甲野氏がＹ法人と退職を前提に和解することになった場合、どのような和解条項が考えられるかについて検討しなさい(検討のみ。起案の必要はない)。

ヒント：　　雇止め無効になります（学園の主張する理由では、解除条件を満たさないため）、そこで和解になるのですが、学園としては、引き続き雇用することが困難であるため、金銭解決を望んでいるはずです。ならば、Ｘの代理人としては復職させるより、金銭解決するようにＸを説得することになります。後は、金額の問題かな？



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