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年金額計算のからくり。。。平成21年度年金額は? [年金]

また、カテゴリーを増やしてしまったのであります。。。[NEW]

「御隠居さん! いいねぇ…年金貰って優雅に過ごせて…」
ふらっと入ってきた、喜六が言うと
「なんや、喜六かいな… 年金暮らしちゅうけどな、物価は上がる
年金額は、下がる一方でトンとやってられんわい。」
「えへっ? 物価に応じて年金額も変わるんじゃなかったんですかい?」
「喜六もうチョイ、勉強せなあかんで、そもそも年金額はな…」
   (ヽ ̄□)/≪≪ベラベラ… (・。ヽ) ワ~~弾丸のようだ・・・

本日は、年金(国民年金・厚生年金保険)における、平成21年度の年金額についてのお噂でお時間まで。。。
   しかし、落語の枕みたいですなぁ f(^^;) ポリポリ




ただ、貰うだけだと、はは~こんなもんかいな…
しかし物価は上がる、年金額は上がらない…生活くるし~よ~[ふらふら]

このような話が巷でささやかれていますが。本日はそのからくりなどと年金額を絡めたお話であります。
複雑怪奇になっている理由の一つに、年金額を計算する際の「複数の式が存在」があるのです。[もうやだ~(悲しい顔)]

まずは。。。物価の推移から 総務省のHPから当該数字を拾えます。

     H7を100  H12を100
-----------------------------------------------------------------------
年      H11  H12  H13  H14  H15  H16  H17 
物価指数 102.2 101.5
            100  99.3  98.4  98.1  98.1 97.8
                                    100
変動率% -0.3  -0.7  -0.7  -09   -0.3   -  -0.3  
物価スライド率  1.000 1.000  0.991 0.988 0.988 0.985

         H17を100
-----------------------------------------------------------------------
年         H17  H18  H19  H20 
物価指数    100  100.3 100.3 101.7
変動率%    -0.3  +0.3  ±0  +1.4
物価スライド率 0.985 0.985 0.985 0.985
-----------------------------------------------------------------------
(注1) 表では、H17年を2つ記載しています。ブログのエントリー幅の
    関係で折り返しました。 最近では平成12年、17年の数値を
    100として指数を出しております。
(注2) 現在支給される年金の額は、前年の物価変動率を勘案して支給されます。

ここで話がややこしくなったそもそもの原因は、平成12年度から平成14年度支給分までの3年間で、合わせて1.7%物価が下がったにもかかわらず、年金額を引き下げなかったことから、国民年金では、法定額の780,900円×改定率という金額と、平成12年の法定額804,200円×物価スライド率という、物価スライド特例措置による価額の2種類が存在しているのであります。

実は、物価スライド特例措置による額で支給する場合は、物価が下がったらその分を下げる、物価が上がってもスライド率は据え置くというルールになっています。なぜなら、本来下げるべきところを据え置いた「1.7%」のツケを回収しないといけないからです。

一方、法定額による計算を、マクロ経済スライドというのですが…この場合、賃金や物価上昇した際には、調整率(0.9%)を減じて改定率を決定します。この際に調整率を減じたときに、マイナスになるのであれば、改定率の増減を行ないません。。(つまり、前年のまま)
また、賃金や物価が下がった場合には、さらに調整率を減ずることなく、下がった分を改定率とするのであります。

え~~っと 改定率のベースは賃金なの物価なの? 「(ーヘー;) え~と
国民年金では、65歳から老齢基礎年金の支給がありますから、68歳到達年度前は、原則として「名目手取り賃金」を、それ以後は、「物価変動率」をベースにするのですが… 障害基礎年金や遺族基礎年金については、「名目手取り賃金」をベースに決定されるのであります。

 ※ 名目賃金変動率とは、物価の変動率に、平均的なサラリーマンの
   手取り賃金の変動を勘案したもので、一般的には物価変動率を上回ると考えられ
   ますが、逆の場合、物価変動率を当てはめることになっています。

法定額が、当該物価スライド特例措置の額を超えるまで、物価スライド特例措置による額で支給しようというものであります。ということで、現在物価スライド特例措置による額で支給されています。

ちょっと待ってよ…率を見ていると、そろそろマクロ経済スライドが発動ってこと?
   ( ・_ ・)ん?

ところがどっこい… 物価スライドのみだと、そろそろなのですが! さっきも書いたように調整率で上昇分の頭を押し下げているのであります。まだ、1.2%余り回収できていないし、昨年のリーマンブラザースの破たん以後急激に消費も冷え込んだので、マクロ経済スライド発動までまだまだ時間がかかりそうなのであります。

で…気になる平成21年度の年金額!
物価指数が +1.4%でありますから、物価スライド率は、0.985変わらず。
つまり、支給される額は、平成20年度の年金額と同じであります。
   ヾ(°∇°*) オイオイ長い講釈垂れてそれだけ?!

国民年金
満額の老齢基礎年金・障害基礎年金(2級)・遺族基礎年金の基本額
 792,100円(平成12年法定額804,200円×0.985を端数処理します)
子の加算額 227,900円・75,900円

国民年金の法定額の改定率は、平成20年度が0.997で、今回+1.4%でありました故-0.9すると、+0.5%になるはず…
0.997×1.005≒1.0019ですよって、1.002程度なんでしょうね。政令を待つとしましょうか♪
追記します。。。 1.006 となりました。

国民年金の保険料改定率は、3年前と2年前の物価指数の比率と、年度の初日の属する年の4~6年前の3年間の平均の標準報酬月額を当該期間の物価指数の比率を掛けて算出するはずだし…
かなちさんが教えてくれた、社会保険庁のページには「保険料改定率平成21年度も0.997」と書いてあったぞ…( 一一)
取り敢えずは、これらの数値に関しては、再来週辺りに、厚生労働省にお電話して確定数値を聞いて確認をとることになります。
   [ふらふら]電話代が痛いかも…


当然に、厚生年金保険でも物価スライド特例措置なので、年金額に付き変更がありません。

ここまで書いたので、ついでに厚生年金保険の報酬比例部分の計算方法のうんちくなども述べちゃいましょう。[わーい(嬉しい顔)]

現在の厚生年金保険の年金額の計算でありますが…これが、年金額の計算上面妖なことになっておりまする。
   Σ(ノ°▽°)ノハウッ! どういうこと???

本来の額(マクロ経済スライド)と物価スライド特例措置による額、さらにはそれぞれに従前額保障という具合であります。
基本式は、次の通りです。
マクロ経済スライドの年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×改定率
物価スライド特例措置の年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×スライド率
※ 総報酬制導入前の期間と導入後の期間に分けて計算し合算します。
  総報酬制導入前は、平均標準報酬月額に読み替えてください。
  昭和12年4月1日以前生まれの人については、生年月日による読み替えがあります。
    (以上は、以下の計算式において同じ)


(1)従前額保障
平成12年にそれまでの給付乗率の1000分の7.5を、5%切り下げたのですが、いきなり5%切り下げは年金生活者の懐具合を考えるに、きついであろうとの判断で、従前の給付乗率のままで支給しようというものであります。
つまり、物価スライド特例措置のスライド率は、平成6年から平成12年までの累計スライド率1.031に、それ以後の物価スライド率の0.985を乗じるわけであります。

再評価率は平成6年のものを使い、その後の変更はありません。つまり、平成6年当時の物価に応じた再評価を行いその後の物価が上がったことによる部分は反映しないということになります。
再評価率とは、年金は長期に渡って保険料を納付しますから、昔の給料を現在の給料ベースに置き換えるという数値であります。分かりやすく言えば、おきらく社労士が高卒後の初任給6万円余りでありました。それと現在の新卒者との初任給では開きがありますよね。歴史的ギャップを埋めるための数値と理解してください。
平たく言えば、標準報酬月額や標準賞与に再評価率を掛けて出てきた数字の総額を被保険者期間の月数で割ったものが平均標準報酬額となります。
ところが、マクロ経済スライドにおいては、再評価については、平均標準報酬額を計算する際に織り込んでますので、再評価しないという点に注意してくださいね。

①物価スライド特例措置
年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×1.031×0.985  
※ 給付乗率 総報酬制導入前 1000分の7.5 導入後 1000分の5.769  
    (7.5÷1.3=5.769 つまり、標準賞与の分として0.3を加味しています。)
②マクロ経済スライド
年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×改定率
※ 給付乗率は同じ、平成20年度改定率 0.997

(2)平成12年に5%適正化した後の支給額
それまでは、1000分の7.5だったのですが、5%切り下げたため給付乗率は1000分の7.125となりました。
※ 給付乗率 総報酬制導入前 1000分の7.125 導入後 1000分の5.481
   (7.5×0.95=7.125  7.125÷1.3=5.481 )  
再評価率は平成12年のものを使い、その後の変更はありません。
③物価スライド特例措置
年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×1.031×0.985    
④マクロ経済スライド
年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×改定率
※ 給付乗率は同じ、平成20年度改定率 0.997

  (・_・?) ハテ? で…御託を並べていたけど、どの額で厚生年金が支給されるの??

①~④の4つの方法で計算した中で一番高い額で支給されます。つまり①の従前額保障の物価スライド特例措置による額で平成21年度も支給されます。

おきらく社労士もこの辺りのことは余り書かない語らないのであります。
だってさぁ…この辺の理屈を語っても、支給額が決まっているのだから、それは触りようない事実でありますやん♪
こういうことを、理解しているのも社会保険労務士でありますよ。[わーい(嬉しい顔)]

え~っと、先日のことでありまして。とある方の平均標準報酬額を見て年金額を計算したら、ぴったし♪ ちょっとうれしかった、おきらく社労士であります。

ここで、年金額について書きました。となると…この後@マジメのネタは、アレですよね(笑)





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コメント 11

かなち

>>この後@マジメのネタは、アレですよね(笑)
ええ、国民年金保険料ですね(笑)
21年度は14,660円と
http://www.sia.go.jp/top/zenwari_jp/index.html
に書かれているのですが、
14,700円×保険料改定率=14,660円
にするには保険料改定率が0.997でないと答が合いません。

どこから資料を引っ張ってきても0.997にならないので
先生のご解説期待しております。
by かなち (2009-02-08 09:23) 

おきらく社労士

かなちさんへ
ヽ(  ̄д ̄;)ノ おてあげ~
推定なので、本文に書きませんが・・・
20年の改定率=100.0÷100.3=0.997または、1-0.3%で0.997
19年の物価指数は±0.00だったので、1を乗じた
悩んでおりまする(涙)

by おきらく社労士 (2009-02-08 10:51) 

おきらく社労士

あ…保険料改定率は、名目手取り賃金がベースだったから…
厚生労働省に問い合すといたします。。。( 一一)
by おきらく社労士 (2009-02-08 11:23) 

たーく

はじめまして、かなちさんとちょっとお知り合いのたーく
といいます。以後、お見知りおきを。

年金の改定率について調べていましたら、こちらにたどり
着きました。とても濃いー記事をありがとうございます。
久しぶりに年金について勉強し直しました。(苦手なので
避けて通りたいのが本心ですが、、、)

さて、過去の記事にコメントして申し訳ないのですが、ど
うしても気になると、ほっとけないたちでして、ご容赦く
ださい。


平成21年度の国民年金の法定額の改定率ですが、下記の
ようになるのではないかと思われます。ただし、これは推
測で、まったく確認は取れておりません。

今回は、
物価変動率       1.4%
名目手取り賃金変動率 0.9%

のため、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回り、
かつ、名目手取り賃金変動率がプラスとなるので
名目手取り賃金変動率となります。(65歳も68歳も)

そのため、
平成20年の改定率0.997×名目手取り賃金変動率1.009≒1.006
となるのではないでしょうか。

by たーく (2009-09-26 17:06) 

おきらく社労士

たーくさんへ
なるほどなるほど…
そうなるわけですなぁ。ありがとうございました<(_ _)>

実は、このエントリーとある本の校正の際の備忘なんです。
年金は、めったに扱わないし(顧問先関係のみ)、扱うときは社保のデータ準拠ですから… いつまでたっても苦手です(;一_一)


by おきらく社労士 (2009-09-26 23:20) 

たーく

すみません、余計なお節介で、、
ブログの方のコメントまでありがとうございました。
やはり、年金額も保険料額も、毎年の改定率はどんなものにも載っているのですが、出し方まで書いてあるのは少ないのでしょうかねぇ。
by たーく (2009-09-27 00:00) 

おきらく社労士

たーくさんへ
実際には、改定率の計算より「額」なんですよね…(;一_一)
書いてある本は少ないですが、あるのですよ。
そろそろ入手しないといけないのですが、
毎年買うのもなぁと尻ごんでます。(爆)
by おきらく社労士 (2009-09-27 00:17) 

じやま

>現在の厚生年金保険の年金額の計算でありますが…これが、年金額の計算上面妖なことになっておりまする。

久しぶりに「4つを比較」という記事に出会いました。ネットサーフィンすると殆どが「3つの比較」で、要するに「マル3」が抜けとるんですなぁ。ご当局に問い合わせても、驚く勿れ「マル3」の存在を知りません。
ところで、「マル3」でいう「平均標準報酬額」は、どの評価率表を用いるのでしょうか。ご存知の方教えてください。
by じやま (2012-11-21 11:52) 

おきらく社労士

じやまさんへ
コメントありがとうございます。「マル3」がどれを指しているのかわかりませんが…
5%適正化前の標準報酬額の再評価率は平成6年改正時、適正化以後の再評価率は12年改正時の再評価率で計算するとしていたはずなのですが、因みに、マクロ経済スライドの場合、標準報酬額計算の際に再評価率を織り込んで計算しています。

これで、答えになったのでしょうか(不安)


by おきらく社労士 (2012-11-21 13:11) 

じやま

おきらく社労士さん、早速のご回答ありがとうございます。

「マル3」とは、貴殿ご説明の、

③物価スライド特例措置
年金額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数×1.031×0.985

のことです。
丸数字はネットで使用禁止かと思い、「マル3」などと記述しました。

で、ご不安解消のための補足ですが、①②はH6の再評価率表を、④はH16改正以降毎年作成されている再評価率表ですよね。
これに対し、③の計算で用いる再評価率表は、平成16年改正法第7条の規定による改正前の厚年法附則別表第1、つまり、生年月日区分が、
S5.4.1以前
S5.4.2~S6.4.1
S6.4.2~S7.4.1
S7.4.2~S8.4.1
S8.4.2以後
の5区分しかない表で、①②や④で用いる表とは別の表ではないのでしょうか、というのが私の質問です。

もしそうだとして、追加質問ですが、巷では「①②④の3つのうち最も高い金額が支給されます」とし、「③の計算は、現在は使われていません」などという解説を見かけるのですが、なぜ③が置いてけぼりにされることになったのかを知りたいのです。
まぁ、「4つの比較」を主張される貴殿にお聞きしても詮無いことかも知れませんが・・・。

(この疑問、日本年金機構に聞いても答えが返ってこないんです。現在の職員で知っている人は誰もいないようなんです。)
by じやま (2012-11-21 16:45) 

おきらく社労士

じやまさんへ
ご質問の趣旨は、よくわかりました。
>5区分しかない表で、①②や④で用いる表とは別の表ではないのでしょうか、というのが私の質問です。
すみません。この件に関しては。当時受給権が発生している人たちの生年月日なので、今どうなっているのか気になれば、厚生労働省の年金局へお問合わせされた方が早いです。

確かに、一介の社労士ごときは、なんでという部分は答えられません。でも、今般成立した国民年金法を改正する法律が施行され、再来年には、国民年金は法定どおり、厚生年金は5%適正化前と法定額との競争になるかなと…どうなるねんというところが本音です。
お役に立てなくてごめんなさいね
by おきらく社労士 (2012-11-21 17:48) 

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