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第17回特別研修 グループ検討課題3~5 [特定社労士]

グループ検討課題の折り返しまで来ました。。。
あと3つ、行けるかなぁ[わーい(嬉しい顔)]

■□ グループ検討課題第3 懲戒解雇と退職金請求 
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与野市社会福祉協議会事件(浦和地裁H10.10.2)
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06794.html
懲戒解雇処分では、普通解雇を正当化するだけの程度では足らず、「懲戒としての労働関係からの(即時)排除」を正当化するほどの程度に達している必要があります。

川中島バス事件(長野地裁H7.3.23)
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06514.html
バスによる旅客運送業を目的とする被告にとって、バス料金の適正な徴収は会社経営の基礎であること、ワンマンバスにおいては、料金収入額に関する的確な証拠書類は存しないから、運転手の右料金徴収業務に関する誠実性が強く要求されるところ、原告は、これに反して一仕業のバス料金としては決して寡額とはいえない3800円を着服したこと、被告における料金着服事案に対する他の処分と比較して重きに失するとはいえないことなどから、本件解雇処分が原告の定年退職日までの休暇に入る直前に行われたとしても、解雇権濫用とは認められない(懲戒解雇有効)。

というように、横領については、厳しい判決がでる傾向にあります。
これを踏まえていきましょう![モバQ]


Q1 本件懲戒解雇の有効性について、考慮すべき事情を挙げつつ検討してください。

受験ノートP.25からを見てくださいね。
①明確性・該当性の原則、②相当性の原則、③不遡及の原則、④一事不再理の原則(二重罰の禁止)、⑤手続保障(弁明の機会)、⑥平等主義(公平性)、⑦不当な動機・目的の有無

さて、この中で本件に該当するのはどれでしょう?
グループ内で検討してくださいね。




Q2 後のあっせんの場において、本件懲戒解雇の意思表示に普通解雇の意思表示が含まれていたと主張することができるか検討してください。

こういう判例があるんだけど…

高知放送事件 最高裁第2小法廷S52.1.31)
就業規則所定の懲戒事由にあたる事実がある場合において、本人の再就職など将来を考慮して、懲戒解雇に処することなく、普通解雇に処することは、それがたとえ懲戒の目的を有するとしても、必ずしも許されないわけではない。
このような場合に、普通解雇として解雇するには、普通解雇の要件を備えていれば足り、懲戒解雇の要件まで要求されるものではないと解すべきである

会社は、このような意思表示を予備的に意思表示していたか。また、Y社は「情状酌量の余地はない」といっており、あっせん申請の4(結語)否認していることなどをどう評価しますか。




Q3 本件懲戒解雇後の調査によって、下記アないしウの事実が発覚した場合、Y社は、これらの要事実を懲戒解雇の理由として追加して主張することができるか検討してください。
また、追加主張が可能な場合における本件懲戒解雇の有効性を検討してください。
ア Xが、Xの部下に対してパワーハラスメントを行っていたこと
イ Xが、平成29年4月以降、家族との同居を隠して単身赴任手当を不正に受給していたこと
ウ Xが、平成27年9月から平成29年3月まで、本件と同様の手口により総額50万円の旅費の不正受給をしていたこと


懲戒を行った当時知らなかったものは、当然に懲戒処分の理由にされていなかったわけなので、懲戒処分を行った際の事由だけで懲戒処分の有効性を判断することになります。そのため、懲戒を行った当時知らなかったものを後から、懲戒の事由に追加したとしてもそれは認められないというのが裁判所の考え方です。

山口観光事件(最高裁第1小法廷H8.9.26)
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/06857.html




Q4 Q1またはQ3において、本件懲戒解雇が有効である場合、Y社退職金規程3条に基づき、退職金を全額不支給とした取り扱いの有効性を検討してください。

■□ 【退職金】退職金と懲戒解雇・不利益変更に関しては、労働政策研究・研修機構のページを読んでください(当該ページにある、小田急電鉄事件の判例とその後の解説は必ず読んでください)。
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/05/34.html





■□ グループ検討課題第4 休職・復職 
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■□ 休職制度と職場復帰について、労働政策研究・研修機構のページを読んでください。
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/06/55.html


Q1 一般的に、傷病休職制度において、復職が可能となる「休職事由の消滅」とは、どのような状態を意味しますか。

傷病休職において、休職事由の消滅を認めるためには、原則として従前の職務を支障なく行うことができる状態に回復したことが必要とされるが、職種や業務内容を限定していない労働者の場合、使用者は、従前業務への就労は無理でも他に従事できる業務があるか否か、実際に配置することが可能であるかなどを考慮することが求められる。




Q2 Y社としては、Xが提出した診断書の記載からは「傷病が治癒した」と判断で復職を認めないとの判断をして差し支えないでしょうか。そのように考える理由も併せて回答しなさい。


・職種限定をしない労働契約の例
片山組事件(最高裁第1小法廷H10.4.9)
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07115.html
・◎ 職種限定している場合の労働契約の例
全日本空輸事件(大阪高裁H13.3.14=職場復帰の条件)
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/07736.html

① 治癒の判断における適切な意見を主治の医師に求めるためには…必要に応じ、労働者に係作業環境、労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果等に関する情報及び職場巡視の機会を提供することが適当であるとされています。
② 提出された診断書は、産業医が精査することになります。
③ このときに主治の医師と産業医の意見が異なったときは、会社の実情を掌握している産業医の判断が尊重されることになります。しかし、精神疾患であれば長期間観察する必要もあり、たとえ産業医が精神科医であったとしても、主治医の判断を尊重することが適当であると考えられています。




Q3 Y社がXの提出した診断書を踏まえ、復職の可否を判断するに当たり、具体的に検討をすることが考えられますか。

グループ内で検討してください。




Q4前段 本問において、Xが有期雇用労働者(令和2年10月1日雇い入れ、契約期間1年、所定労働時間8時間)だった場合で、契約期間を半分ほど過ぎた令和3年4月以降にうつ病により休暇、欠勤が継続した場合、有期雇用労働者には休職制度を設けていないY社としては、欠勤期間が1か月となった時点で、「精神又は身体の故障により、業務の遂行に堪えられない」とのY社の有期雇用労働者の就業規則上の解雇事由に該当するとして、契約期間途中で解雇することは可能でしょうか。

① 就業規則等(準用する場合も含めて)に解雇事由があれば、契約上の解除権があることになる(期間途中でも可能)。
② 「精神又は身体の故障により、業務の遂行に堪えられない」とのY社の有期雇用労働者の就業規則上の解雇事由に該当することは、「債務の全部の履行が不能であるとき(民法542条1項1号)」による解除といえ、また、当該解除事由の原因はXにあると考えらえる。そのため、労働契約法17条(民法628条)に関わらず、解除することができる(本件うつ病が、履行不能であると言えるのかは検討の余地がある)。
③ うつ病が業務上災害と考えられる場合は、期間満了まで労働基準法19条による解雇制限を受けることになる(労働契約法19条1号・2号に該当しない場合=雇い入れ後半年ということから、雇用継続に合理的期待等がないという前提)。




Q4後段 また、上記のとおり令和3年4月以降、休暇及び欠勤を継続していた有期雇用労働者のXが、同年9月に入り、「令和2年10月より復職可能である。ただし、一定の期間軽減勤務(短時間勤務等)を要する」との診断書を提出した場合、Y社が雇い止めをすることは可能でしょうか。Y社の有期雇用労働者の就業規則上は、「業務量の変動、経営上の事由、社員の勤務成績、勤務態度、健康状態等」を勘案して更新の有無を判断するとされています。
なお、有期雇用労働者に休職制度がないことの当否は検討しなくて構いません。

① 労働契約法19条の該当性
② Y社の規模、業種、労働者の配置等の実情からみて、短期間の復帰準備時間を提供したり、教育的措置をとったりすることなどが信義則上求められるような事業場であるか否か

これらのことをグループ内で検討してみてください。





■□ グループ検討課題第5 退職の意思表示の瑕疵 
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Q1 Xは、Y社に対し、口頭で自主退職を申し出ていますが、一般的に、口頭での退職の意思表示は有効でしょうか。

意思表示は、「通知が相手に到達したときに効力を生じる(到達した事実のみで有効となる)」とされており、その様式までは定められておらず、通知の内容を知ったのか否かも求められていません(民法97条)。




Q2 Y社の就業規則において、自主退職の手続として「退職日の1か月前までに退職願を人事部長に提出し、承認を得なければならない」と規定されていた場合、Xは本件退職意思表示を撤回することができるでしょうか。

Q3 一般的に、意思表示が無効または取り消し得るのは、どのような場合といえますか。

民法97条によると、意思表示は、死亡又は無能力者になった場合を除けば、意思表示が受領者に到達して、初めて有効になるわけですから、退職の人事部長等(意思表示受領権者)に退職の意思表示が到達してしまえば、法540条2項より退職の意思表示を撤回することができません。

しかし、これを逆解釈すれば、退職の意思表示が人事部長等に到達前に、撤回の意思表示を行えば(撤回の意思表示が退職の意思表示が到達する前に人事部長に到達する)当初の退職の意思表示はなかったことになりますから、取消しは可能であるといえます。

退職日の1か月前に満たない期間で退職の意思表示があったとしても、Y社が追認すれば問題はありません。

これ以外に、錯誤(法95条=14回試験)によるものは、法律行為の要素に錯誤があったこと、そして表意者に重大な過失が無いときにその意思表示は取り消すことができ、詐欺又は強迫(法96条=12回試験)による瑕疵ある意思表示も同様に取り消すことができます。




Q4 本事案において、Xは、本件退職意思表示にいかなる瑕疵があると主張することが考えられますか。

Q5 Xが本件退職意思表示の瑕疵を主張するに当たり、どのような事実を主張する必要がありますか。Q4で回答した主張を前提に答えなさい。

第12回及び第14回紛争解決手続代理業務試験を例に考えてください。
本件事案は、錯誤によるものか、詐欺又は強迫によるものか考えてみてください。

genbaneko.jpg



終わった…バタッ_(:3 」∠)_




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