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労基法26条休業手当…ノーワーク・ノーペイの原則の例外なの?! [労働基準法]

昨日、小商いから帰ってきたら、ツイッターにフォローされたとのお知らせが…
見ると、「労基法26条は、ノーワーク・ノーペイの原則の例外」とあったので、つい、ちゃちゃを入れてしまったのであります。 ノ(´д`) ヘヘヘ

おきらく社労士が社労士受験勉強中にも、どこかで読んだ記憶があります。どこかのテキストに書かれてあったはずなのです。(忘れました)

広い意味で言えば、ノーワーク・ノーペイの例外でありましょうが、そう言う理屈であれば「有給休暇」も該当するのでありますがねぇ…
   しかし、有給休暇の項目には書かれてないやん![ふらふら]
   ヾ( ̄p ̄) ォィォィ 有給休暇は、法律により労務を免除される日やろ…


結論だけで理解すると危ないように思ったので、休業手当と絡めてその辺りの考察なんぞを♪




ノーワーク・ノーペイって、どこから来てると思います?
民法536条(債務者の危険負担等)
1 前2条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

債務者の危険負担等の場合を除いて、当事者の一方の理由により債務の履行ができないときには、反対給付を受ける権利がない。

簡単に言えば第1項で、「労働契約に基づいて労働者が労務の提供をしなければならないのに、労務の提供をなし得ないなら、賃金を受ける権利がない」ということですな。反対側の方から見れば、「使用者は、賃金を支払わないのであれば労務提供を受ける権利はない」ということになります。
   日本語、ヘン[ちっ(怒った顔)]

第2項では、債権者(労務提供を受ける側=使用者)の責めに帰すべき事由で、債務者が履行すべき債務(労働者の労務提供)の履行ができないときは、反対給付(賃金)を受ける権利は失わない。

この危険負担の考え方では、労務の提供がなし得ない理由が、使用者の都合であれば賃金請求権は消滅しないと書いてあるだけなのです。そこで、民法の特別法である労働基準法26条の規定により、使用者の責めに帰すべき事由によって休業させた場合には、平均賃金の100分の60以上を支払えと、規制をかけたのであります。

因みに、労働者の責めに帰すべき事由(遅刻や無断欠勤)により、労務提供がなし得ない(債務不履行)場合は、債務の履行督促なんぞを、使用者は行います。それでも、なおも債務不履行が続くのであれば、労働契約の解除という運びになるのですが、今度は労働契約法で、解雇権濫用法理が働くのであります。

労働者の労務の提供がなし得ない理由が、不可抗力によるもの…通勤電車が延着したような場合は、それを証明することにより免責となります。
   わかりやすいよね。(^◇^)

ところがね、使用者の帰すべき事由というのが、また細かい…(ToT)/
労基法26条の適用除外は、天災事変などの不可抗力に該当することが要件であります。

民法では契約一般に適用される責任のことで、通常は「故意、過失または信義則上、これと同視すべき(これは使用人が行なったことも含まれます)事由である」といわれていますが、労基法26条の「責めに帰すべき事由」は、もっと広く解釈されているのであります。

民法上は使用者の責任とはいえないときでも、労基法26条では使用者の責めに帰すべき事由になってしまうことがあります。
たとえば、民法上は使用者の帰責事由とはならない、いわゆる「経営障害(親会社の経営難から下請工場が資材資金を獲得できず休業した場合の下請け会社など)」も含むのですが、労基法は、使用者の責めに帰すべき事由になります。これは、使用者の責任は。労働契約の特殊性(労働者の生活かがかっているでしょ。(^_-)-☆)からしても、一般の債権関係の当事者の責任より広い範囲で経営上の責任を問うのが公平だと考えられるからであります。

こういうことがあって、債務履行時の危険負担に基づいてますが強行法規ではないので、労基法26条の規制により賃金の保障を行なうので、実質例外扱いとなっているわけです。 この規定は労働者の最低生活を保障するのための規定なのでありますよ。
   (^_-)-☆ね。ちょっとニュアンスが違うでしょ。

でも、労基法のテキストみたいなことを書くと、「ノーワーク・ノーペイの原則の例外」と書いちゃうかな…
   ヾ(°∇°*) オイオイ どっちやねん!





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かなち

タイミング良すぎます。
また突っ込みたくなるブログの記事が下記に書かれています。
http://ameblo.jp/teshinosuke25/entry-10703849573.html
私が労働法を語って欲しくないと書いたお方です。
コメント入れても無視されるので、もう入れませんでしたけど(^^;;;
一応(S24.2.8基収77号)と(S24.7.27基収1701号) が参考になるかなぁ。確かに『違法な解雇期間中の賃金は、原則として100%』だと信義則上は思いますが、上記通達により休業手当に当たるのかなと。
by かなち (2010-11-12 21:45) 

おきらく社労士

かなちさんへ
確かに、当該お方は突っ込みどころ満載の日記ですなぁ。こういうお方の意見が…読んでいる人にとって都合のよい…労働関係をぐちゃぐちゃにするのでありましょう。

>原則として100%』だと信義則上は思いますが、
え~っと。7月に語ったのは、60%にするか100%にするかではなく、支払い規定を明確にしろということでありまして、それが不足であれば、支払いについては裁判所で決めてもらえば良いということであります(^^ゞ


by おきらく社労士 (2010-11-12 23:54) 

かなち

>それが不足であれば、支払いについては裁判所で決めてもらえば良いということであります(^^ゞ

そうでしたそうでした。民事の基本ですね。当事者間の合意が基本で、合意できなかったら裁判所等で、玉入れ ( ・0・)ノ° ゜.Y。°。ヽ(・・ )合戦するわけですね。

なんか特定の試験みたい。(大爆)
by かなち (2010-11-13 08:08) 

おきらく社労士

かなちさんへ
玉入れの大会になったら、必死こいて理由付するのですが…
解雇に至った理由と、「ほんだら、労基法改正してもらおうか」とのたまって見るとか。

しかし、特定絡みの質問も多いです…
by おきらく社労士 (2010-11-13 10:39) 

関岡 正

初めて投稿します。先日の山梨大雪の除雪作業のため鉄道の駅へ作業員10数人とともに2/14(金)から数駅を除雪、移動、待機を断続的繰り返し車で移動しながら行っていましたが、2/16(日)13:30から2/18(火)15:00まで移動中に国道渋滞のため2日間立ち往生してしまいました。業務の拘束時間中でありますが、移動中とはいえ業務指示が及ばない状態で勤務時間に入るのか、この場合の約50時間の社員や作業員の勤務扱いどのようにすればよいか教えてください。なお、社員は月給制で作業員は日給月給制です。
by 関岡 正 (2014-02-21 14:36) 

おきらく社労士

関岡さま
ご質問の件ですが、建設業でしょうか? 具体的指示(業務上)が見えないのですが…

一般的なところで回答させていただきますが、コメントの範囲内で推定できる内容ということをご理解ください。
業務上の拘束ということですから、その時間は労働時間と解するべきです。
①移動中とはいえ業務指示が及ばない状態・・・事業場外のみなし労働時間が適用されます。通常考えられる作業時間に相当する、割増賃金は、支払う必要があります。

②特殊な例ですので、①の上乗せして、拘束時間に関しての慰労について…労働者さんと話し合いで決めてください。金銭で決済して、慰労金に関しては①以外の拘束時間時間に応ずるものとして、文書交付、さらに「特殊な環境下の賃金債権について、未払いがない旨の確認条項」を付けて、労働者さんたちの署名をもらっておくとよいでしょう。

少なくとも、仰る時間の未払賃金という問題はクリアできると思います。
お書きになった内容で考えられる回答はこれまでになります。
by おきらく社労士 (2014-02-22 13:18) 

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