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■ 倫理設例 [特定社労士]

もう一息…倫理のお勉強であります。グループ検討課題をちゃっちゃと済ませて、倫理を検討する時間を残しましょうね。検討課題でアップアップして、時間が足りない場合は、1回でも集まって倫理まで総ざらえしたグループは、やっぱり合格率は高いような気がします。

おきらく社労士が受験したときも、集まって…飲んでました(爆
色々意見交換して、試験に対して傾向と対策的戦略を立てていたのです[わーい(嬉しい顔)]

さて、最後は倫理を軽~~く流して、ブログ講座終了にいたしましょうかね^^



<設例1>
 社会保険労務士甲は、○○クラブの会員であるが、そのクラブの定例会の席上で顧問先のA社の社長から、A社の経営が思わしくないので、整理解雇を考えている旨の立ち話をされた。A社には、甲の顧問先であるC社が継続的に原材料を販売している。甲がC社にA社の窮状を話すことはどうか。

はいはい! よくあるパターンです。
顧問先のA社長から、「整理解雇するかも」と業務に関する秘密を聞きました。
  聞いちゃったんだから仕方ない…どっかの逮捕されたMファンド代表が言っていた言葉でありますが!

Q:業務に関する秘密を聞いちゃったなら、これをしゃべったら、社労士法何条の制限がありますか?

A社長が話したというのは、顧問社会保険労務士として信頼があるわけですから、これに対して信義則が働くと思う人「ノ」
A社に商品を納入するC社も顧問契約をしていますね、だとしたら、C社にも信義則が働くと思う人「ノ」

信義則上、A社の窮状をC社に話すべきなんですけどね(※)・・・A社に対する信義則があって話せない!
   マイッタ( ;´・ω・`)人(´・ω・`; )マイッタ

これが利益相反の原理であります。
本件では、結論としては、「守秘義務があるので話してはいけない」なのですが、(※)の信義則とも競合してしまうときに、なぜ守秘義務のほうが優先されるのか考えてください(ヒント…一般法と特別法)。



<設例2>
 特定社会保険労務士甲は、B社に勤務する従業員Cより退職金100万円の支払請求をして欲しい旨の相談を受けた。以下の場合につき検討せよ。

Q1.代理人として個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づくあっせんを申請することができるか。

個別労働関係紛争というのは、「労働関係に関する事項についての個々の労働者と事業主との間の紛争」をいいますから、労働関係(労働契約上の地位を有する)にあるか、労働関係にあったことが前提です。
ということで、通達0326009号 1-①、②
受験ノートP.174~175 ゴシック体の箇所を参照

Q2.代理人として民間紛争解決機関に申立てをすることはできるか。

社会保険労務士法2条1項1号の6???
通達0326009号 1-③ 受験ノートP. 175 (*3)

Q3.2の場合、金100万円のうち一部である金60万円のみを請求する申立てをすることはどのような問題が生じるか。

民法99条(代理)が根拠…おきらく民法なら27ページ付近
民法695~696条(和解及び和解の効力)…受験ノート108ページ・おきらく民法72ページ
一部請求してそれで和解したとして、後から「あの時の40万円」払えとは言えなくなります。60万円にするというのは、労働者の同意があればできるというものの、試験的には、「最初から労働者の権利を制約するようなことを、労働者に求めるというは、良いことなのでしょうか?」と考えれば答えは見えてくると思うのですが…

Q4.1または2の手続をとることなく、B社に赴いて交渉し、金90万円で和解すること、はできるか。

社会保険労務士法2条3項2号および3号を理解してください。
通達0326009号 3-②~③ 受験ノートP. 179 (*7)
因みに、この2条3項はいまだ1回も試験には出題されていませんので…この手の問題が出たときの解答例は、受験ノートなら205ページの厚生労働基準局長の答弁の中にあります。



<設例3>
 特定社会保険労務士甲は、X市の無料相談会でB社に勤務するAからB社が一方的に労働条件を切り下げ、それによってAの賃金も減額されてしまったので、労働局のあっせんの申請をしたいとの相談を受け、あっせん申請書に記載すべき申請内容や手続について協議し、指導した。その後しばらくしてB社の社長が甲の事務所を訪れ、「Aから労働条件の切り下げを不服として5ヶ月分の賃金の差額(金15万円)の支払についてあっせんの申請が厚生労働大臣指定の民間紛争解決機関に出されたので、B社の代理人として手続を進めてほしい。」旨の依頼を受けた。甲は、B社の依頼を受けることができるか。

協議=相談と読み替えると… 「協議し指導」という内容は、社会保険労務士法2条1項3号に出てきます。つまりあっせんの手続等の一般的説明と読み取れます。
しかし、「労働局のあっせんの申請をしたい」と言っている以上、「あっせんにより解決しよう」という意思は固まっていると考えれば、受任前の紛争解決手続代理業務になります。

この時の協議指導は、社会保険労務士法2条1項3号のいわゆるコンサル業務としての相談に応じたのか、社会保険労務士法2条3項1号の受任前の紛争解決手続として相談を受けたのか、どちらが妥当だと思いますか?(後段の相談であれば、22条2項1号または2号の制限があります)

通達0326009号 4-①又は② 受験ノートP. 190(*9~11)
通達0326009号 3-① 受験ノートP. 178(*5)



<設例4>
 特定社会保険労務士甲は、Aより、その勤務していたB社の社長Cから度重なる暴言や嫌がらせを受けたので、B社に対し慰謝料を請求してほしいとの依頼を受け労働局にあっせんを申請するための準備をしていた。そのあっせん申請の準備中、B社が100パーセント出資している子会社であるD社から、就業規則の作成について相談したい旨の依頼があった。この場合、甲は、D社の相談を受けることはできるか。

B社とD社は、別法人ですから一見問題はないように思えますが、D社はB社の支配を受けているわけで、D社の依頼はB社の意図であったと考えたらどうなるでしょうか?

B社 「お前(D社)、特定社労士のところへ、就業規則作成の鼻薬嗅がせて来い!」
D社 「へぃ!合点だ~♪」
甲  「B社に、『魚心あれば水心よな』とお伝えくだされ」
これって、OK?



<設例5>
特定社会保険労務士甲は、B社の従業員であったAより依頼を受け、代理人としてB社に対し退職金の支払を求めて民間紛争解決機関にあっせんを申立て、同事件はB社がAに対し金50万円を支払うことで和解が成立した。
 前記和解は金50万円を5ヶ月に分割し毎月金10万円ずつ支払うという内容であった。B社は甲に対しB社がAに対するこの分割金の支払が完了する前に、Cより残業手当を請求したいとして、所轄の道府県労働局長に個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に基づくあっせんが申請されたので、B社の代理人となって手続を行って欲しいと依頼してきた。甲は、B社のこの依頼を受けることができるか。

通達0326009号 4-③ 受験ノートP. 191(*12)によると、受けることは可能なのですけどね…
B社が債務の履行をしなかったときは、再び紛争の状態に戻るわけで、そうなったときに紛争の相手方から報酬を得るということがよいのか悪いのか、倫理上の判断になります。
なお、通達0326009号 4-①~③ 受験ノートP. 190~191については重要ですから必ず読んで理解しておいてください。



前回の試験では、特定社会保険労務士の倫理というより、社会保険労務士の倫理という問題がだされています。となると、なんでも来い的な対応が求められますので、少なくとも社会保険労務士法をその通達の趣旨は必ず知っておく必要はあると思います。





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