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第8回紛争解決手続代理業務試験・・・解答指針(あっせん事件編) [特定社労士]

せっかく書いたのに・・・消えちゃいました><
気を取り直して、もう一度書きますが・・・

免責事項
ここに書いた内容は、おきらく社労士個人の見解で、模範解答でもなんでもありません。ここに書いてある内容と同じようなことを記述できていれば加点が期待できる程度のものです。
後日発表の厚生労働省の採点基準とは異なる可能性があります。また、受験生の皆さんと同じ制限時間で解いていますので、後日出版されるであろう「おきらく社労士の特定社労士受験ノート」では推敲を重ねますから、そこに記載される内容とは、異なる可能性があります。
それから、受験された方の解答と違う内容であっても、答えは1つではない試験なので、その点についてはツッコミをいれないでください。アラシ目的のコメントも公開いたしませんのでご了承ください。

この点を了解された方のみ、以下の解答指針をお読みください。




第1問は、配転命令拒否により、本来なら懲戒解雇のところ、諭旨解雇にしてやるからありがたく思え~~~!
なんか、第7回と同じような事件でありますけど、この問題を読んで思い付いたのが、北海道コカコーラボトリング事件

労働政策研究・研修機構に書かれてある内容がわかりやすいでしょうか?
判例で言うとこちらかな(全基連)

債権者は、妻、長女、長男(ママ)、二女と同居しているところ、長女については、躁うつ病(疑い)により同一病院で経過観察することが望ましい状態にあり、二女については脳炎の後遺症によって精神運動発達遅延の状況にあり、定期的にフォローすることが必要な状態であるうえ、隣接地に居住する両親の体調がいずれも不良であって稼業の農業を十分に営むことができないため、債権者が実質上面倒をみている状態にあることからすると、債権者が一家で札幌市に転居することは困難であり、また、債権者が単身赴任することは、債権者の妻が、長女や二女のみならず債権者の両親の面倒までを一人で見なければならなくなることを意味し、債権者の妻に過重な負担を課すことになり、単身赴任のため、種々の方策がとられているとはいえ、これまた困難であると認められる。そして、債権者が右のような家庭状況から、札幌への異動が困難であることに加えて、帯広工場には、協調性という付随的要件に欠けるが、その他の要件を満たす者が他に五名もいることを考慮すると、これらの者の中から転勤候補者を選考し、債権者の転勤を避けることも十分可能であったと認められるから、債務者は、異動対象者の人選を誤ったといわざるをえず、債権者を札幌へ異動させることは、債権者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものであるというべきである。


まさにこれでしょう[わーい(嬉しい顔)]

根拠条文は…労働契約法
(労働契約の原則)
第三条  労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
2  労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
3  労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
4  労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
5  労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
(労働者の配置に関する配慮)
第二十六条  事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない

配慮義務があります。[モバQ]


では、ちゃっちゃと書いちゃいます。
第1問小問(1)・・・求めるあっせんの内容
XはY社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める。
XはY社に対し、平成24年11月1日以後本件解決の日まで、毎月10日限り金46万円の支払いを求める。
XはY社に対し、東京支店において、勤務する義務のないことの確認を求める。

通勤手当ですが、今までは、実費弁済的なものだからいれないとしていましたが、労基法の通達に福利厚生的なものは賃金ではないが、労働協約、就業規則等であらかじめ支払基準が明確に定められられているものは賃金とするということ、解雇が不当なものであり、解雇とされた期間につき使用者が労務提供を拒んだとしても労働者の賃金請求権は失わないという法理から請求することにいたしました。また、賞与については、「業績及び人事考課によって支給される」とありますので、今回も請求していません。

小問(2)(3)ですが・・・今回は5項目と書いてありましたので、楽勝!
つまり、小問(2)に記述があり、小問(3)に反論がない場合、Xの配転命令拒否正当性、解雇無効の主張がそのまま有効打になってしまうのでありまして、反論を探せばよいということになります。逆も正しいのでありますな[わーい(嬉しい顔)]
あ~~。問題文で箇条書のところの頭に①~⑤をつけろって書いてありますのでちゃんと書いたかな?? これがないことによる減点はないと思うのですけど。[ふらふら]

ここでは、規定がある小問(3)から解くとよいでしょう
小問(3)・・・Y社の立場で、配転命令拒否による解雇有効!の主張
①周知された就業規則には、「業務上の都合により、配転、転勤、出向を命ずることができる」とされており、転勤が日常的に行われていること←かなり有効な言い分であります。
②工事課の人員が余剰になっているが、経営的にXの転勤は必要な状況で、経験年齢的に見て、Xが東京支店の課長に適しており、他に適任者がいないこと
③転勤の内示の際に、応諾の意向を示したが、3日後応ぜらないと言ってきたこと。ただし、母の介護について、Y社は申出を受けておらず、また、近所には叔母もいるので支援もうけられること
④このため、介護サービスを受けるための時間的猶予を与えたこと、帰宅の便宜を図る等、配慮したこと
⑤東京への転勤を9月20日付けで命ずる内示を9月3日に行い、他の転勤発令者を含めて、異議を述べなかったこと。
⑥転勤拒否は「重要な業務命令に反したとき」に該当し、懲戒解雇のところ諭旨解雇としたこと
1個多くなったので、③と④を合体させ、コンパクトにまとめる…[ちっ(怒った顔)]


これに対して、小問(2)は、Xの反論でありますけど、①の部分だけは反論しようがないのであります。
基本的に、Xの抗弁は、①元々原処分を行う理由がなかった(配転命令は、勤務地限定特約がある・権利濫用・不当な目的をもった命令であれば、無効になります)、②配転命令は有効であっても、それを拒んだことによる解雇には相当性がない(配慮義務違反)という2つの主張を探すことになります。

では、小問(2)Xの代理人として、2つの方向から攻めることができます。配転命令について権利濫用があるという主張…諭旨解雇取消しを主張すると! それと、 配転命令が権利の濫用ではないとされても、配慮が足りないという主張ができます。それを考えると…

①転勤命令の内示を受けた際に、内諾はしていなかったこと
②転勤を受け入れたら、家庭崩壊になるので受け入れられないという理由
i)実母が要介護2で、最近認知症が出て、夜間徘徊がはじまり、夜間の見守りが必要である
ii)妻は、小学校6年の担任で多忙であり、慢性疾患で自分のことをするのが精一杯で、母の介護や娘の食事、後片付け、その他日常の世話はXがしていること
iii)転勤を受け入れた場合、単身赴任を余儀なくされること
iv)月1回の帰宅旅費では、どうしようもないこと
V)叔母も、膝を痛めて頼めないこと
③Xは前社長のことを話したので、現社長からは目障りな存在であり、今回の配転命令は目障りなXを排除しようとする不当な目的であったこと

①と③は必ずですから、残る3項目を②の項目でピックアップできていれば加点が望めます。

小問(4)の法的見通しですが。。。先の裁判例を見れば、アバウトな方向が見えてくると思います。

 Y社の転勤命令は、Xの家庭を顧みないものであって、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定する「労働者の配置に関する配慮」義務違反となる可能性が高い、また、現社長の不当な目的をもった命令である可能性も否定できず、本件配転命令はその権利を濫用したものとして無効であると考える。(153字)

解決策は・・・

 Y社の配転命令が無効であれば、Xを原状回復させるべできあり、そのようにY社に対して働きかけるが、引き続き、現社長が目障りなXを排除しようとするならば、円満に退職するならY社も会社の下請けとして考慮すると言っている以上、その方向でXに対し提案し、退職を前提に交渉することも検討しなければならないと考える。(150字)

なんか、Y社の言い分の最後を読んでいると、現社長のジレンマが感じられたり[がく~(落胆した顔)]
先代と比較してばかりで、うっとおしいけど、その手腕は捨てがたい。。。そういう感じで書ければよいのではないかと思うのでありました。



長くなったので、一旦ここでエントリーして、引き続き倫理へ突入します。


ここでの個別の質問につきまして、追記します。
本試験の答えは、一つではありません。いくつかの答えがある試験です。解答指針につきましては、そのうちの一つについて示唆しているだけで、これにより合格基準に達しているか否かを担保するものではありません。
過去に炎上した苦い経験をもっておりますので、個別の質問について、以後、この場でお返事するのは差し控えたいと存じます。



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コメント 4

通りすがり

小問2と3は解雇無効ではなく配転拒否についてです。
by 通りすがり (2012-11-18 04:57) 

おきらく社労士

通りすがりさんへ
そうですね。配転拒否に関して修正を加えました。ありがとうございました。
by おきらく社労士 (2012-11-18 07:06) 

通りがかり

お返事ありがとうございます。

1番のあっせんの内容は、東京支店で働く義務のないことも必要だと思いました。
そして2,3番はあくまでも配転拒否についてのことであり、したがって小問(3)の⑥とされてるご回答でも大丈夫なのでしょうか?
by 通りがかり (2012-11-18 21:35) 

おきらく社労士

通りがかりさんへ
コメントありがとうございます。問題文では、「本件転勤拒否を理由とする解雇」になっていますので、問題はないと考えています。
ただ、解答における一つの示唆という程度に読んでいただければ幸いです。

過去に、私なりに出した解答をUPしたことで炎上したことがあり、ご質問等もおありでしょうが、この場を使っての、これ以上の回答につきましては、控えさせていただきます。
by おきらく社労士 (2012-11-19 07:11) 

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