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おきらく社労士の倫理観について… [特定社労士]

まだ、紛争解決手続代理業務試験ネタを引っ張ります。紛争解決手続代理業務試験の倫理のエントリーでコメントを頂戴しましたので、私の倫理観を書いておきます。
これは、私の信じる倫理観でありますので、強制する意図ではありません。



事の起こりは社労士法20条の依頼に応ずる義務というのがスタートでしたので…

依頼に応ずる義務というのは、社労士の行なえる第2条の業務に公益的なものも含まれますから、公益性を損なわれないようにという趣旨であります。したがって、正当な理由がない限り依頼を拒むことはできません。
しかし、同時に紛争解決手続に関するものは除くとされています。

なぜ「紛争解決手続に関するものは除く」という規定があるか…従前に参与した事件による、信義則違反や利益相反行為等の問題が生じることがあるので、除くとしているのであります。
また、紛争解決手続代理業務に関連していることすら、守秘義務により明かせないのです。

   ☆----------------☆

従前に参与した会社に対する信義則があるから、不特定多数の労働者を相手にする労働相談会には参与しないという選択をしています。反対に、労働相談会の依頼を受け、労働者側に参与した段階で、その相手方の会社とは縁を繋がないというスタイルです。

実際、現状のおきらく社労士は、労働相談に関しては社労士会からの依頼しか受けないし、受けた場合でも、労働問題に関することであれば、会社名を聞くまで内容は絶対に見ないことにしています。
また、現在は労働者からの相談案件は保険給付に関する指導に限定しています。でないと、顧問とか参与した会社の信義則上の問題が発生しますので…

保険給付に関するものであれば、その指導に関しては公益性があり、正当な理由がない限り絶対に拒めませんし、できる限り受けるようにしています。これは、別事件で守秘義務による制限もかからないと考えるからです。紛争となった場合については、その時に考えますけど…

事実、労働問題では1回あったんよね。(;一_一)
当時は、ほとんど…今もほとんど参与してないけど(涙)…会社側には参与してなかったし、見たことも聞いたこともない会社だったので、労働者の相談に乗ったのでありました。話を聞いて、落とし所がありそうだったので、会社にお手紙を書きました。
○○の法律によって、御社の講じた●●という措置については××という不備があります。したがって、△△という内容で、御社と労働者Aの間で労働条件について調整できませんでしょうか。調整がつかない場合は、公的な機関に間に入っていただき、お話し合いで解決に向けたいと存じます。

結果、労働条件に折り合いがつき、労働者さんは職場に残り円満解決と相成ったのでありました。
   ヽ(^◇^*)/ ワーイ

しかし、その後会社から、「会社としての労働条件についてご相談が…」と来たのであります。

お 「ごめんなさい、従前に労働者さんに参与したので、申し訳ありませんが、
  他の社労士さんにお願いできませんでしょうか」

こう言って、丁重にお断りしました。
   (ノ_<。)うっうっうっ 顧問契約~~

あくまでも、労働者の相談を受けた時点で、信義則と守秘義務があります。将来当事者間で別案件の事件が発生した場合に、会社の方へも参与すればこちらにも信義則や守秘義務が成立するので、利益相反となってしまいどちらのほうにも参与できなくなります。
また、紛争の相手方から報酬を得ているような場合に、完全な利益相反行為になります。

あくまでも将来のことで、実際に起こり得るか否かはわかりませんし、万が一に起こったことを想定してしまうのです。

この例は労働問題×労働問題ですが、従前が一般的な指導であっても、その相手方とは縁を繋がないように心がけています。紛争となった場合には、最初の依頼者につかなければならないと考えているからです。

業務に関して知り得た秘密は第三者には一切明かせませんし、労働者からの秘密が残っていますから、第三者にはわからないのであります。それ故、襟を正して公明正大に業務を行う必要があります。

この考え方が、おきらく社労士の倫理です。

だって、社労士も多いし会社も多いんですから、お互いセレクトすればいいんじゃないですか。という考え方です。
この考え方は、私の倫理観ですので、そうあるべきであるとは言いません。それぞれの社労士が信じる倫理観を持って、職務にまい進してくれればそれでよいと考えています。

当初の第6回紛争解決手続代理業務試験第2問の倫理、小問(2)が発端ですので、そちらに話を向けます。

解答の指針の理由付や書き方には迷いがありますが、第2問小問(2)の場合、私は絶対にAの依頼は受けません。解答指針については、「受任できる」と書いた方であっても、部分点を期待するためには、あそこに書いた方向性で書いていて欲しいという意味であります。
当該問題はこちら

元々の相談は「残業代の計算方法」です。このときは、一般的な指導であったと考えられます。その後、6か月ほどして、生産縮小に基づく配置転換拒否による解雇があったので、Aが相談に来たわけです。

そもそも、Aの依頼を受けることは法律上の問題はないと考えられます。

おきらく社労士の倫理観で言えば、受けません。従前にB社に参与したから…これがB社の相談との間に相当時間が空いているのであれば、完全に別案件と判断できるでしょうけど、この場合6か月ですから、B社の経営改善に繋がらないので、生産量減少に伴うものと考えれば、当初の相談と今回の生産減少に伴う配置転換は一連の案件だと推測できます。従前のB社の相談内容がどうであれ、受任は差し控えるべきと考えます。

たった、115字程度の問題で、詳しい状況設定がない、特定社労士甲が受けた相談は「就業規則の残業手当の計算方法の変更について」と書いてあるだけです。試験だし、こんな状態だからこそ安全策を考えないといけないと考えるのであります。

受けられるとするのであれば、その理由付をすればよく、それを採点者に納得させられれば、それでOKです。そして、合格基準に達すればそれはそれでなおよしです。

コメントをくださった方は、「一般業務の依頼があった場合の処理とを混同されているのではなかろうかと非常に心配いたします」と心配してくださっていますが、試験は試験と割り切って、実務では総合的に勘案して、おきらく社労士が正しいと思う道を選択するように心がけております。



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合瀬五郎

過去問は、登場人物が毎年増えて、100%子会社まで登場したり、どんどん複雑系に移行し、社労士法第22条第2項第3号の理解度を測定する方向なのだと思っていました。今年の問題を見た瞬間、愕然としました。あまりにも単純系で論点が何もない。第1感では、(1)の弟問題でも受任は可能、(2)は完全に受任出来ると思いました。20秒位悩みましたが、部分点狙いに決め、(1)も(2)も『受任を差し控える』でやや不本意な論理展開をしました。

単純なだけに、倫理をストレートに問う問題だったのですね。来年のおきらくバイブルを楽しみにしています。バイブルは、作問者の正解を分析予想しておきらく先生の考えた解答を変更するところがすごいと思いました。再受験の際には、真剣に勉強します。
by 合瀬五郎 (2010-11-22 23:13) 

おきらく社労士

合瀬五郎さんへ
>(1)の弟問題でも受任は可能

これを受任してはいけませんがな。いくら守秘義務があるとはいえ、依頼者の相手方が経営陣におり、かつ、2親等であれば…
ということで、受任を差し控えるという見解は正しいと思います。

>バイブルは、作問者の正解を分析予想しておきらく先生の考えた解答を変更するところがすごいと思いました。

ここの意味がイマイチ理解できてませんが…
バイブルではなく、あくまでも考え方の一つだと思ってくださいね。一つの意見に固執すると、よくないですよ。

>再受験の際には
そう言うことは、書かないでおきましょうぞ!幸運の女神様が逃げるとたいへんです。
by おきらく社労士 (2010-11-23 00:00) 

合瀬五郎

倫理(2)についてさんへ反論:場外乱闘参加宣言

倫理(2)についてさんは、聡明でほぼ正しい主張をしていると思いますが、一つだけ、誤りがあります。法律と倫理の境界線に関する意識が薄い点です。『倫理は、全ての社労士について、同義でなければなりません』なんて、習いましたか?私は習っていません。『皆さん、それぞれのお考えをお持ちになって下さい』と言われました。

『法律は全ての国民が守らなくてはなりません』は自明です。『人を殺してはいけない』と言われたら、いけないのです。理由は、『法律だから』だけです。法治国家の基本です。
私の親父(倫理(2)さんのお爺さん?)の世代の法律では、『南の島へ行って人を殺せ』という法律でした。善良な市民は皆、従いました。それが『法律』と言われる人類の発明物です。『僕は人殺しは悪いことだと思うよ』などと言って、逃げる行動は当時の法律では許されません。

でも、『倫理』は全く違います。100人の社労士がいれば、100色の倫理が許されています。非常に嵩高な概念です。我々は、社労士の倫理を守り抜く義務があります。
又、『疑わしきは受任を差し控える』は、倫理の方向性。『受任出来ないものを『受任出来る』と書いたら零点、受任出来るものを『受任を差し控える』とかいたら部分点』はおきらく先生の大発見。100人100色と言えども、特定社労士として失格とすべき倫理はあり得ます。

『試験』は別物です。倫理(2)さんは、11名の出題者を意識して解答しましたか?自分だけの意見を書きませんでしたか?自分の解答と違うと言うだけでおきらく司祭を非難して良いのでしょうか?『試験だから解答がある』は当たり前。模範解答が公表されないのは割り切るしかない。おきらく先生は職業として解答速報を提示して下さった。かみつく意味が何かあるのですか?

倫理(2)についてさんへ:黙示の合意を求めます。
反論なさるのであれば、受けて立ちます。
バッチを捨てて反論して下さい。あなたは、社労士の地位を下げる存在だからです。
by 合瀬五郎 (2010-11-23 16:37) 

おきらく社労士

合瀬五郎さんへ
コメントありがとうございます。

by おきらく社労士 (2010-11-23 16:50) 

かなち

合瀬五郎 さんへ

私も直感では倫理の1問目は受任できると考えました。兄と弟の関係が無ければ何の障害もありませんから。
でも、やはり前のエントリーのコメントさせて頂いたように、問題文に「常務取締役」とわざわざ書いてあるのが気になり、依頼を断ると言う意見に変えました。
兄と弟の関係を、論理的に絶つ文章が書ければ「受任できる」と書いても、相当の点数を得られるものだと考えています。
だたしそれが書けない場合は、兄弟関係は一般常識的に親族関係で第三者から見て密着度が高い関係と見られるのが普通ですから、佐々木先生仰るように断る方向になると私は書きます。

先生が仰るように3月にサクラが咲くのを待ちましょうよね。
by かなち (2010-11-23 18:00) 

おきらく社労士

かなちさんへ
確かに…2親等ですから、これが18親等ぐらいだと依頼を受けることは可能かと思うのですが…(笑)
ちゃかしたら、あかんか(;一_一)

基本的には、試験ですから問題作成委員の書いたシナリオに沿う答えを引っ張り出さないといけないのでしょうね。
by おきらく社労士 (2010-11-23 18:54) 

倫理(2)について

私に関する全ての書き込みの削除願いを申し上げます。
by 倫理(2)について (2010-11-23 23:32) 

合瀬五郎

倫理(2)についてさん、立派な御見解だと思います。今回の倫理(2)は、私のグループ内でも、激しく意見が分かれました。

おきらく先生、かなちさん、ありがとうございました。さくらが咲くのを待ちます。
by 合瀬五郎 (2010-11-24 00:48) 

おきらく社労士

倫理(2)についてさんへ
ご依頼により、倫理(2)さんと私のお返事について削除いたしますが、その他の方のお書きのコメントについて、倫理(2)さんの記述のある部分まで削除することはできませんので、ご了承ください。

皆様へ
倫理(2)についてさんより (2010-11-23 23:32) 削除依頼があり、倫理(2)についてさんのコメント並びにおきらく社労士がそのお返事とした部分を削除いたします。

このため、コメント欄に不自然なコメント群が生じておりますので、その点をご理解ください。
by おきらく社労士 (2010-11-24 08:07) 

合瀬五郎

お詫び

あかりんさんのおっしゃる通り、合瀬は、故意に相手を傷つけ、おとしめるような書き方をしてしまいました。社労士の品位を疑われると思います。本意ではなく、倫理(2)についてさんのことは、すごい方だと尊敬しています。本当です。グループの仲間にも、そう言ってます。おきらく先生や倫理(2)についてさんのコメントがなくなってしまった時に、合瀬のコメントを読み返してみると、合瀬はとても変な人です。でも、本当は、面白い、オチャラケ人間なのです。今度、グループ内でウケた、特定社労士GORO AWASEを披露させて頂きたいと思っています。
おきらく先生、今後の反省の為に、合瀬のコメントはこのまま残して下さい。
by 合瀬五郎 (2010-11-25 23:05) 

おきらく社労士

合瀬五郎さんへ
コメントに苦慮しています。
倫理(2)さんのコメントは、議論という点では問題なかったのですが、私のルールで書かれれてはいけないことを書かれたので、管理人権限を行使する旨の発言をしました。これについては今も悩むところであります。

倫理(2)さんのコメントのコメントにより、迷っていた文案がすっきりまとまり、その点については感謝したいと思っております。

このコメントを読んでくださると、ありがたいのですが…

>今後の反省の為に、合瀬のコメントはこのまま残して下さい。
ご依頼により、残します。
by おきらく社労士 (2010-11-25 23:29) 

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