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従業員は、石垣の外??? [コンサル]

え~っと。前エントリーで打ち止め、厄介事は西の海へさらりと流して、今日は別のネタを繰っていたのですが… コメントを頂戴し、そのお返事を書きかけたのですが、長くなりそうだったので一つエントリーを建設したのでありました。

コメントの一部引用であります。
人は石垣、、一般社員、従業員は石垣の外ではないですか?
経営者は、城のなか、しかも天守閣のいちばんうえ、安全な場所で高みの見物ですよね。



今の、大手の経営戦略を見ていると、従業員は石垣の外で不況の嵐に翻弄され、会社の経営陣は安全な天守閣で城の生き残りだけを考えている。鋭いですなぁ[わーい(嬉しい顔)]

しかし、それでよろしいのでしょうか?
短期経済観測なんぞを見ていると、景気については改善方向にあると言われつつも、実際に肌で感じられるかと言えばそうではないでしょ。これは、賃金が上がらないから、消費が増えないわけであります。
得た収益を労働再配分しないから、消費拡大に繋がらないのでありますよ。経団連のTOPは日本の将来のことなんか、これっぽっちも見てませんから。

じゃ、TOPはどこを見ているの??
ズバリ、投資家だけ。内部留保を積み増して企業(組織)防衛に励んでおります。今日の産経新聞だったか朝日新聞だったか忘れましたが、その記事によると、経営陣の役員報酬が1億円を超える企業があるそうな。
   ヽ(゜ロ゜;)ノ \(°o°;)/ ウヒャー

この会社に対して、問うてみたいかも。
 従業員を、どんな労働条件で働かせてますねん?
 社長!あ~たは、従業員の労働条件で同じように汗を流せますか?
 解雇者を一人も出さず、かつ、雇用調整もしなかったんですかい?

昔ね…ドルショックが起こった際に、某自動車会社の経営者が漏らした言葉です。
アメリカへ車を売らなかったら良かった。為替差損が出るぐらいなら従業員の賞与にした方がましだった。
「会社は城、人は石垣」。こういうことを言ってもよいのは、このように考える経営陣ぐらいでしょうか。
この後も、好況不況を繰り返し、バブルの頃から経営陣の質も、日本人の気質もごろっと変わって、品格・品位がなくなったのでありますよ。[ちっ(怒った顔)]

このころから、正規雇用と非正規雇用に格差ができ始め、非正規雇用者を格下に見たりするようになったんですよね。で…結果、「彼らは城の外」。こういう間違った考え方をもつ人間が増えてしまったのです。

非正規雇用で働いている人の大半は、正規雇用されたいという願いがあります。しかし、雇用情勢の狭間に翻弄され、非正規雇用にならざるを得なかった人も多いのです。

正規雇用であれ非正規雇用であれ、会社にとって収益を上げるために働いてくれている人たちですやん。同じように働いてくれているなら、同じように取り扱わないといけません。
会社の親睦会があったら、派遣社員にも声をかけるべきなんですよ。例え雇い主が異なったとしても。

会社に収益をもたらしてくれる人。こういう観点から見たら、おきらく社労士のいう「人は城、会社は石垣」ということがわかってくると思うのです。

大阪の中小企業は、この不況のさなか、青息吐息で雇用の維持を図るため、必死こいて踏ん張っているんですw。 大阪だけじゃないです。
「一人の解雇者も出すまい」このように頑張っている社長さんを見ていると、「従業員は城の外」とは、よう言いません。

従業員は、会社を支える要素の一つです。でも、会社は従業員の生活を支えているのですから、全員を城の中へ入れないとね。ということで、人材活用の観点から見た、「人は城、会社は石垣」でありました。


   ☆---------------------------------☆

しかし、労働分配率の観点から人事管理をすると、話はごろっと変わってくるのであります。
従業員1人の賃金額を蹴りだすためには、不況時にあっては賃金額×2、好況時には3倍以上の仕事量(売上高)が必要になります。仕事量÷人数(賃金)=1となれば、残業なしで給料も払えるという寸法であります。

1より大きくなれば、残業を増やすか、人を雇い入れることになり、1より小さいと、余剰人員が生じることになります。(具体的な計算式はちゃんとあるのですが、ここではその話を置いておきまする。 \(^^\)ソノハナシハオイトイテ(/^^)/ )

問題点は、現状は後半にあることですやん(余剰人員が発生している状況)。

短期に改善が見込めるのであれば、「ゆっくりしようぜ♪」で済むのですが、全員を城に入れて籠城させると、部屋住みする。傘貼りや封筒貼りなどをさせることになります。
   籠城:解雇者を出さずに踏ん張るという選択
   部屋住み:一時帰休=100%の休業手当を出し、雇用調整助成金を狙う
   傘貼りや封筒貼り:兼業を認める

しかし、相当期間続くのであれば、兵糧が底をつき、最後は全員が討ち死にということになるので、何人かを城の外へ出さねばならなくなります。
   兵糧:内部留保分の運転資金
   討ち死に:倒産

   ☆---------------------------------☆

大手の企業は、従業員の顔が見えないからドライに、城の外へいとも簡単にほり出してしまうのでありますよ。結果、現場の中間管理職さんが、首切り役人となってしまうのであります。
中小零細企業では、従業員の顔はおろか、配偶者や子の顔まで見えているのであります。それ故、城の外へ追いやることについては、断腸の思いがあるのです(ズバッと切り捨てる社長さんもおりますが)。

零細企業のオヤジとしては、城の中へ入れておきたい。しかし、それをすると兵糧が底をつく。この狭間で一人悩み苦しむのでありますよ。決して天守閣で納まっているわけではないです。

セミナーだと、一般論でとおしてしまって、個々の問題は個別質疑で対応するのであります。
今日は、中小企業の実情を知るコン猿として、一般論で社長さんの内心の吐露を代弁してみたのであります。社労士としては、両方のリスクを勘案して、社長の背中を押すこともあります。これも、辛い選択なのであります。


これで、答えになったやろか・・・(ちと不安)




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コメント 6

あきばこ

断腸の思いの選択・・・ですか><
社長さんの背中を押すおきらくさんもつらいですよね。
理想論ではやっていけない時もあるのですね。

by あきばこ (2010-06-10 20:51) 

おきらく社労士

社長は孤独なんですよ。
理想論はなんとでも言えますが、会社存続させるための苦渋の選択は常にあるのです。
(;一_一)

by おきらく社労士 (2010-06-10 22:11) 

レオぱぱ

先の社労士さんの、日本の城のでき方、いまの「龍馬伝」そのものですね。城主やその上級武士(上司)は移動しますが、下級武士(武市半平太ら)はもともともともとその土地のもの(郷士)であること、根本が違うわけですよね。大企業やいまの政界のようですね。
さて、上記のレポート、私自身、中小零細企業のオヤジさん、東大阪のオヤジさんも大勢取材しています。おっしゃる通りです。私の意図は大企業、行政官庁のことをいっています。かつての不況時は、大企業は雇用を抑えると中小企業にいい人材が集まった、ところが今回はそんな状況じゃない。大企業が回復基調になっているようですが、すると中小もその次にやってきそうですが、今回は中小企業にまわってきそうもない。いうなれば、従業員だけではなく、中小企業の経営者までも石垣の外ということかもしれませんね。
by レオぱぱ (2010-06-10 23:48) 

おきらく社労士

レオぱぱさんへ
>従業員だけではなく、中小企業の経営者までも石垣の外ということかもしれませんね。

そのとおりなんです。搾取した結果の業績であります。じゃ、そのしわ寄せは、従業員の賃金であり、下請けへの執拗な仕入れ価格のコストダウンの要求。
これで、消費者の購買意欲が湧きますか?
従前の不況下では、大企業は下請けを大切にしていたのであります。ここは耐えてくれ。業績回復したらその見返りがあったから、協力もでき同じ苦労を共にしたという連帯感もありましたけど、今の大手の企業モラルは低すぎる。自分(その身分)が安泰であればそれでよい。このセコイ考え方しか見えてこないのであります。

政治家も同様に、汚いことをして平然としている。これを見ながら育った子が大人になったら…これを考えると、日本の夜明けは暗いかも。
そう思えてしまいます。
by おきらく社労士 (2010-06-11 00:07) 

レオぱぱ

たびたび、、こういう話、ぐちやぼやきになってしまいそうですが、このような議論というか、士業やコンサルタントや学術分野の方が声を大にしていわないと、どうしようもなくなります。中小企業はなかなかいえませんからね。一握りの大企業があればいいという構造だと思います。下請け企業は海外でいいんだということですが、そんな考えだと海外の企業からしっぺ返しになって、それこそ立ち行かなくなりますよ、日本の経済は。すでにしっぺ返しというか、海外生産や市場も欧米企業に遅れてますからね。日系企業に労務トラブルが多いようですから、そんなところからもありそうですね。
by レオぱぱ (2010-06-11 14:16) 

おきらく社労士

レオぱぱさんへ
例えば、一昨年の派遣切り…2009年問題があって、一気に派遣切りしたように思えます。その時に、派遣先は派遣元に対して、果たすべき義務の履行をしていたのか?!
ここに問題の争点があるのです。ここの契約の内容ですから表に出ないにしろ、派遣先が果たすべき義務を履行していたのであれば、派遣切りをした派遣元がその紛争のリスクを背負う。履行していないのであれば、派遣先の方がそのリスクを背負わないといけないのであります。
 マスコミは、派遣切りの事実をセンセーショナルに伝えますが、誰が責任を負わなければならないのか、そこを追求しないといけないのでありますが、報道を見る限り…成熟していません。( 一一)

 安かろうがよかろうであれば、日本のメーカーはいりません。となると、近い将来アメリカ経済の二の舞を舞うことになります。
 例えば、アメリカにはテレビを製造している工場がなかった。となると、テレビを買う消費者のお金は、全部海外へ流れる。合理性を追求するあまり、国内産業の拠点もよその国に売ってしまったという図式です。まして、日本では契約の重要性ということを認識していないわけで、お先真っ暗なのは、大企業かもしれないのであります。
by おきらく社労士 (2010-06-11 20:45) 

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