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グループ検討課題のヒント あっせん申請書起案 [特定社労士]

グループ検討課題のヒント あっせん申請書起案

令和元年特別研修のグループ検討課題を見せてもらったので、
参照となる判例や条文、通達などを抜粋しました。
参考程度になればいいかな[わーい(嬉しい顔)]

でも、「おきらくさんは言いました」で (*・ω・)(。。*)ぅん は、
能力担保に繋がりませんから、色々検討を加えてくださいね。


今日から、毎日UPしていきます。

[モータースポーツ]P.10~からのあっせん申請書×答弁書のひな型は、グループ検討課題第3になります。




■□ 設例第1 申請書起案(普通解雇事件) 変更なし

小問(1) 本ケースにおいて会社は増田氏を自宅待機にしているが、当該自宅待機命令は有効か。自宅待機命令の有効要件を検討し、本件のような自宅待機命令が認められるかについて議論しなさい。

◆ 「自宅待機命令の有効性」については下記の読売新聞事件を、「就労請求権」は労働政策研修・研究機構の就労請求権のページを読んでください。

就労請求権(労働政策・研修研究機構)
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/06/54.html
読売新聞社事件 東京高決S33.8.2 労民集9-5-831
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/05026.html

自宅待機命令~就労請求権については、四天王寺国際仏教大学事件の方がわかりやすいかな?[わーい(嬉しい顔)]

四天王寺国際仏教大学事件 大阪高判決H1.2.8 昭和63年(ラ)502号
http://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/04002.html
自宅待機命令は就労請求権が認められる場合には法的な不利益を伴うものとして懲戒処分と解すべきであるが、一般には、就業規則上、懲戒処分として規定され、賃金が支払われないものとされている場合等は格別、特段の事情がない限り、単に使用者の有する一般的な指揮監督権に基づく労働力の処分の一態様であり、業務命令の一種であると解するのが相当である

okiraku2.png労働者の雇用契約上の地位が保全(仮処分)されていて、賃金も支払われるのであれば、それで何ら不利益がないはずなので、使用者が労務提供の受領拒否したことを違法とまでは言えないから、就労する権利まで保全する必要ない…



小問(2) 本事案では、会社は増田氏に対して自宅待機を命じている期間中、増田氏について主任職を解いて主任手当6000円を減額している。こうした賃金減額は有効か。

◆ 賃金の減額の有効性については、次の判例を読んでみてください。

日通名古屋製鉄作業所事件 名古屋地H3.7.22 昭和54年(ワ)835号、昭和54年(ワ)1380号、昭和60年(ワ)2673号
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/05775.html
自宅謹慎は、それ自体として懲戒的性質を有するものではなく、当面の職場秩序維持の観点から執られる一種の職務命令とみるべきものであるから、使用者は当然にその間の賃金支払い義務を免れるものではない

509863.png賃金の減額について、自宅待機命令は「業務命令」の一種である以上、労務の提供を拒まれているわけですから、その責めに帰するべきがあるのは会社側であることがわかると思います。この場合のは民法536条を根拠に、賃金請求権は失われないということになります。であれば、設問の「主任手当6000円を減額した」行為は違法なのかどうなのか考えて下さい。

法536条(債務者の危険負担等) 前2条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。
 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。



小問(2)後段 基本給を27万円から22万円に減額したと仮定にした場合に、このような基本給の減額が認められるかという点について、主任手当減額の場合と比較しながら検討されたい。その際、減額根拠として明示的な規定の要否、減額幅に制限があるか、といった点に留意すること。

509863.pngこの設問の「減額根拠として明示的な規定」というのは、「本件の状況で賃金の減額を行える根拠は、就業規則に規定されているのでしょうか?」ということではないでしょうか?
もし、減額規定がないのであれば、労使間の合意にゆだねられることになります(賃金の減額について、10%を超える減額は著しい減額ということになりますから、原則として労働者の同意が必要になります(労働協約による場合は、個々の労働者の同意はなくても、当該労組の組合員には適用されます))。
この観点以外にも検討すべきことはないか考えてみてください。


小問(3) 本事案は能力不足などを理由とする解雇であるが、判例は、正社員について能力不足などを理由として解雇する場合、その有効性を検討するうえで、どのような点に重きをおいて判断しているか。解雇権濫用法理(労契法16条)の要件を確認した上で、判例における解雇の有効性の判定手法(どのような事情を考慮しているか、解雇権濫用法理の要件充足についての分析の手順など)について具体的に検討しなさい。
また、解雇権濫用の評価根拠事実と評価障害事実という要件事実を意識しつつ、事実を拾いあげて主張を整理しなさい。

◆ 労働政策研修・研究機構の【解雇】就業規則の解雇事由の拘束力のページを読んでください。
https://www.jil.go.jp/hanrei/conts/10/87.html

okiraku2.png引き続き、その者を雇用していることが適当でないと判断することに合理的理由があること(労働契約法16条の解釈)



小問(4) 本事案において、増田氏が会社に対して損害賠償請求を行うことが可能か。
会社によるいわゆるパワーハラスメントによる人格的利益の侵害を理由とする場合と解雇の違法性を理由として損害賠償請求する場合とに分け、損害賠償請求を行う場合の法律上の根拠を検討し、増田氏の言い分のうちどの事実関係を主張・立証する必要があるか検討しなさい。

509863.png損害賠償請求において、「相手方の故意又は過失により、保護されるべき自分の利益を侵害・遺失した」というのが、請求を行い得る要件(民法709条)になります。このため、保護されるべき自分の利益を侵害・遺失したと主張する側が、故意・過失であったことを立証しなければなりません。
そして、民法715条の使用者責任を問う場合には、①利益を侵害・遺失させられた相手方を使用している者に対して、②使用者としての相当の注意を怠った(相当の注意をしていれば損害が生じなかった)ことについて、立証しなければ使用者責任は問えません(陳述書の中で、何が故意や過失に該当するのか、それはどう立証するのか、そして、加害者の使用者が、当然行うべき注意を怠っていたという点を意識して読み返してください)。
そのうえで、使用者の安全配慮義務を怠った(債務不履行)のにもかかわらず、労働者を解雇したことによる遺失した損害は、民法415条の賠償請求の根拠になります。
債務不履行とは、債務者が正当な理由がないのに契約の本旨に従った給付をしないことをいい、それによって生じた損害を請求することができるというのが、民法415条の規定です。

ここは、11回試験で出題され、けちょんけちょんにやっつけられたからな…[ふらふら]


民法
法709条(不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
法710条(財産以外の損害の賠償) 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
法715条(使用者等の責任) ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
 前2項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
法415条(債務不履行による損害賠償) 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。



以下は、グループ内で検討してください。
小問(5) 以上を前提に、本ケースで増田氏の代理人の立場に立って申請書を起案しなさい。

小問(6) 仮に、増田氏が会社と退職を前提に和解することになった場合、どのような和解条項が考えられるかについて検討しなさい(検討のみ。起案の必要はない)。









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