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判例は、そのまま使っちゃダメダメ! [特定社労士]

この時期、特定社労士ネタが増える、当該@マジメであります。9月に、紛争解決手続代理業務試験の受験対策セミナーを予定してますので、そのレジュメを作る作業に追われておりまして…
   どうしてもネタ切れ気味 (;一_一)

ということで、手近なネタをやりくりしてしまうのであります。

特定社労士受験対策セミナー【予告】
京都会場…9月4日・5日開催日確定。現在詳細を詰めております。近々発表できます。
東京会場…会場が押さえられるのが、3か月前なので、会場確保でき次第、発表いたします。
大阪会場…気まぐれな、ボスの回答待ち。[がく~(落胆した顔)]





セミナーでは、主たるテキストとして、おきらくノートを使いますが、購入を強要するのもどうかと思うので、レジュメも用意しました。
   レジュメ】・) う~~ん まるで、「夏休みの友」状態(爆)

おきらくノートがなくても、最低限の内容をカバーする目的と、ワークブックとして使用する部分であります。
取り敢えず、倫理編ができたのでありまして、明日からはあっせん事件編作成にかかります。

さて…紛争解決手続ちゅうものは、個別労働関係紛争が勃発した際に、あっせんなり調停の場でお話し合いでうやむやに 円満に解決しようとするものであります。でも、紛争ですよって、解決の指針が、裁判所の考え方に準拠するわけです。
   (;一_一) 判例=難解な日本語でありますなぁ…

となると、ある程度判例を読み解くことになりますが、内容によっては大どんでん返しがあったりします。

例えば…
●●●と解するところ、特段の事情があったと認められ、△△とする。
こういう文言があったら、
原則では「●●●」だから、あ~たの主張は認められないけど、状況を総合的に判断したら、社会通念として酷だしさぁ。あ~たには、特別の理由があるから△△を認めちゃう[揺れるハート]
このように読み取る必要があります。

具体例として、日立メディコ事件
<出典は「女性と仕事の未来館」の判例検索です>

【下級審判決】
第1審では、契約更新の実態からみて、本件労働契約は期間の定めのないものであったとした上で、会社全体でみると業績悪化であったとはいえず、柏工場単位でみてもさほどの業績低下があったとみることはできないこと、被上告人が希望退職の募集等解雇回避努力を十分に尽くしていないこと等を理由に、本件整理解雇は権利濫用により無効であると判断した。

しかし第2審では、本件労働契約は「期間の定めのある契約」にほかならず、本工と臨時工とでは企業との結びつきの度合いに差があるから、人員削減の必要性がある以上、希望退職の募集等の手続きをとることなく臨時工を雇止めにしても、これをもって不合理とすることはできず、他方柏工場は業績悪化の下で人員削減の必要性があったとして、本件雇止めを適法なものとした。そこで上告人は、これを不服として上告したものである。

【最高裁判決】
①上告人は、昭和45年12月1日から同月20日までの期間を定めて被上告人の柏工場に雇用され、同月21日以降、期間2ヶ月の本件労働契約が5回更新されて昭和46年10月20日に至った臨時員である。
②柏工場の臨時員制度は、景気変動に伴う受注の変動に応じて雇用量の調整を図る目的で設けられたものであり、臨時員の採用に当たっては簡易な方法を採っている。
③被上告人が昭和45年8月から12月の間に採用した柏工場の臨時員90名のうち、昭和46年10月20日まで雇用関係が継続した者は、本工採用者を除けば、上告人を含む14名である。
④柏工場においては臨時員に対し一般的には単純な作業、精度がさほど重要視されていない作業に従事させる方針をとっており上告人も比較的簡易な作業に従事していた。
⑤被上告人は、臨時員の契約更新に当たっては、更新期間の約1週間前に本人の意思を確認し、労働契約書に臨時員の印を押印せしめていたものであり、上告人と被上告人との間の5回にわたる本件労働契約の更新は、いずれも期間満了の都度新たな契約を締結する旨を合意することによってされてきたものである。
以上の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として肯認することができる。
[わーい(嬉しい顔)]ここまでは、事件の事実関係を評価しております。

 原審の確定した右事実関係の下においては、本件労働契約の期間の定めを民法90条に違反するものということはできず、
[わーい(嬉しい顔)]民法90条は、公序良俗の規定ですわぃ。

また5回にわたる契約の更新によって、本件労働契約が期間の定めのない契約に転化したり、あるいは上告人と被上告人との間に期間の定めのない労働契約が存在する場合と実質的に異ならない関係が生じたということもできないというべきである。
[わーい(嬉しい顔)]ここで、東芝柳町事件を参照して「解雇権濫用法理は適用すべきである」と最高裁判事は言っているのでありますが…

これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。
[わーい(嬉しい顔)]「高裁の判断も間違いないよ!」と強調しているのであります。

本件雇止めの効力に関する原判決の判断は、本件労働契約に関する事実関係の下においては正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。

被上告人が柏工場を経営上の単位として人員削減の要否を判断することが不合理とはいえず、本件雇止めが行われた昭和46年10月の時点において、柏工場における臨時員の雇止めを事業上やむを得ないとした被上告人の判断に合理性に欠ける点は見当たらず、
[わーい(嬉しい顔)]柏工場って、経営不振だったのね。だから、臨時員を雇止めすることは、道理にかなっているからと、判事さんの主張が高裁判決を支持してるんですw

右判断に基づき上告人に対してされた本件雇止めについては、当時の被上告人の上告人に対する対応等を考慮に容れてもこれを権利の濫用、信義則違反と断ずることができないとした原審の認定判断も、その説示に照らしていずれも肯認することができ、その過程に所論の違法はない。


要約すれば…
「期間2ヶ月の本件労働契約が5回更新」されたら、解雇権濫用法理が適用されるから、単に契約期間満了を理由に雇止めできません。←これが原則

しかしながら柏工場で人員削減しなければならないという差し迫った事情があった。←これが特段の事情

だったら、臨時員の職務については基幹工の職務の内容とはおのずと差があり(事実関係のピンクの部分)、そこで、比較的簡易な作業に従事している臨時員から、労働契約を終了させていくことにも、人選の合理性があった。←したがって、原処分有効


「2か月×5回更新=約1年雇入れていれば、雇用継続に合理的期待が生じる」。この部分は、東芝柳町工場事件から、共通認識として使えるのでありますが、当該工場の人員削減の必要性というのは、社会の経済情勢、会社の規模・経営状態などを総合的に判断されて、人員削減が道理にかなっているかを判断するので、このパラメーターはいつでも同じ状態で適用できるわけではないのでありますよ。

だから、判例至上主義はよくないのであります。(;一_一)

だって、雇止め事件で必ず出てくる事件の「東芝柳町工場事件」では、権利濫用で雇止め無効の判断が出ました故、パラメーターが重要なキーワードでありましょう。





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あかりん

ボクシングの判定勝ちみたいなもんですよね・・・
KOならわかりやすいんですが、どっちのパンチがより効いたか?って感じですよね。引き分けはないし・・・(~へ~;)う-ん
by あかりん (2010-07-08 21:02) 

おきらく社労士

あかりんさんへ
要は、玉入れでどっちの球が多かったってん。。。
こういう図式です。

>引き分けはないし・・・(~へ~;)う-ん
引き分けは、和解でありますなぁ(^^ゞ
by おきらく社労士 (2010-07-08 21:52) 

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